もう2週間以上経ってしまったんですが、素晴らしかったカエターノ・ヴェローゾのライヴ、感想をまとめてみます。セットリストなどは中原仁さんのブログを参照させていただきました。さすがの着眼点、そして裏話など、興味深いことがいろいろ書いてあります。
僕が行ったのは、東京初日(5/23 池袋・東京芸術劇場)と最終日(5/25 有楽町・東京国際フォーラム)。セットリスト的にはほぼ同じ感じだったけど、個人的には最終日の方が良かったッス(とは言え、初めてカエターノを生で見た感激という点では、もちろん初日の方が大きかったです)。
最終日が良かったと思う要因のひとつに、会場の音響が挙げられます、23日の芸術劇場は会場の反響の具合がちょっとひどくて、聞いていてしんどい部分もありました。またカエターノも前半はあまり声が出ていなかった気もします。ただそれを差し引いても充分良いライヴだったとは思いますが。ちなみにこの日は3列目左端の方の席でした。
対して、25日の国際フォーラムは音響も良く、楽器のバランスなどもしっくりくる感じで、カエターノも最初からばっちり声が出てました。こち
らは6列目ほぼ真ん中あたり。この日はとにかく素晴らしかった!一昨日に一度見ていることもあったんでしょうが、2時間がホントにあっという間に過ぎてしまった
感じです(もう終わり?と寂しかったです)。
編成はカエターノ(歌とギター)+バックが6人。パーカッション、ドラム、ベース、ギター×2、そしてチェロ(もちろんジャキス・モレレンバウ
ム)。構成としては新作のカバー集を軸に、自身の昔の曲やブラジルに関係した名曲を絡めて、という感じでした。個人的には(というか会場にいたほとんどの人が思っていたでしょ
うが)やっぱりもっとポルトガル語の曲を聴きたかったです。まぁ新作の関係上しょうがないんですけどね…。やっぱポル語の響きがとても美しかったです。
良いところを挙げるときりがないんですが、つらつらと書いてみます。
・何よりもカエターノの声の美しさ、艶やかさ。そして還暦を越えているとは思えないパワフルさ。歌が上手いとはこういう人のことを言うんだな、と。うっとりしました。
・優美さと鋭角的なものを的確に表現できる、腕利きのバック・ミュージシャンたち。もちろんみんなリズム感も良いし、とても安定していたと思います。演奏される音楽の振れ幅が大きいので、そこそこのレベルじゃカエターノのバックは務まらないとは思いました。
・特にギターの1人、ペドロ・サー(若い方)はカッコ良かった。ある曲のギターソロはあまりにすごくて、どう弾いてるのか素人目には分からず。とにかくラウドでファンキーでリズミックだった。
・ブラジル音楽の歴史を俯瞰するような選曲(少しですが)。カルメン・ミランダ(1930年代にブラジルとアメリカで人気を博したサンバの歌姫)
の曲をやった後に、彼女用に書かれたけど録音されず、70年代に入ってからジョアン・ジルベルトがそれをOs Novos
Baianosに教えて、彼らがヒットを飛ばした"Brasil
Pandeiro"をやるといった具合。
ちなみにジョアン、カエターノ、Os Novos
Baianosはみんなバイーア出身で同郷です。あと僕が大学時代に生まれて初めて買ったブラジル音楽が"Brasil
Pandeiro"の入っているOs Novos Baianos"Acabou Chorare"だったのも、不思議な偶然で嬉しかったです。
・そして個人的なハイライトは"Haiti"〜数曲の弾き語り〜"Cucurrucuru Paloma"の流れ。"Haiti"のイントロから鳥肌立ちまくりでした(すごい緊張感!カッコ良かった!)。バンドが引き上げ、カエターノ1人での弾き語りからあとは、涙が溢れてウルウル状態でした。激しさと優しさと哀 しさと。グッと来ました。特に最終日の"Cucurrucuru Paloma"は胸が締め付けられるような感じがしました。これだけの表現をできるヴォーカリストは世界でも稀なのでは?とさえ思いました。ちなみにこの曲はアルモドバルの映画「トーク・トゥ・ハー」の中で、カエターノがライヴシーンで演奏した曲だそうです(僕は未見ですが、やはり会場の反応が良かった です)。
あと良かったのは「トロピカリア」に入ってる"Baby"(「ダイアナ」へのメドレー)や、傑作アルバム"Livro"の曲、レゲエアレンジの"O
Estrangeiro"、アンコール最後の"Terra"など。あと新作カバー集にも入っていたDNA(アート・リンゼイがいたバンド)のカバーも。ブ
ラジル繋がりとは言え、このヒリヒリするノイズとコール・ポーターの曲を同じステージでできる人は世界でこの人だけでしょうねぇ。
まだ東京にいる頃にチケットを取り、その後実家に戻ることにしたんで、実はチケットを売ろうかと悩んだんですが、売らなくてホント良かったです!
世界広しと言えども、ここまでの高みに到達している歌手/音楽家はそうはいないと思うんで、いつかまた日本に来る時があれば、色んな方にぜひ見てほしいと思います(チケット代がもう少し安ければいいんですが…)。とにかく素晴らしかった。また早く来て欲しいなー。
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