Stop Look Listen(2025年5月号)
May 30, 2025
月刊誌的「Stop Look Listen」の第5回。GW期間中の動ける日は、ほぼ美術館に通ってました。いいものをたくさん見ることができ、充実した休日を過ごすことができました。ということで(?)、「今月のアート」はじめました。よろしくどうぞ!
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<目次>
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①今月の音楽
今月は隙間時間に結構音楽を聴くことができ、色んないい曲に出会えました。
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Cola Boyy / Babylon
5月にアルバム"Quit To Play Chess"をリリースしたばかりのCola BoyyことMatthew Urango。残念ながら彼は2024年3月に34歳の若さで亡くなっており、本作が2枚目にしてラストアルバム(になると思われる)。ヒップホップ、R&B、ディスコ、レゲエなど練り込まれた快作。捨て曲なしの年間ベストアルバム候補。
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Pachyman / Calor Ahora
こちらも5月にアルバム"Another Place"をリリースしたばかりのPachymanことPachy Garcia。彼はLAを拠点におくプエルトリカン。前作"Switched-On"(2023年)も好きだったけど、本作も素晴らしい。ルーツ・ダブ/レゲエがてんこ盛りで、とにかくダビーな音像が気持ちいい。野外でもクラブでもOK(爆音で聴きたい!)。
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Diskoria bersama Laleilmanino, Andien & Bandung Jazz Orchestra / Selamat Ulang Tahun
4月にアルバム"Intonesia"をリリースしたインドネシアのDJデュオ。様々なゲスト(Danilla、Eva Celiaほか)を迎え、ポップかつ聴かせる作品になっている。オススメたくさんある中、Andienの参加が嬉しい夏向きAORをセレクト。
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區子琳 Paula Au / I'm not 18 or 22
最近初めて知った香港のSSW、區子琳 Paula Au。キャッチーなメロディが耳に残るポップ・チューン。今月いちばんヘビロテした曲かも。すっかりハマってます。
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Surprise Chef / Bully Ball
5月に4thアルバム"Superb"をリリースしたばかりのオーストラリア・メルボルンのシネマティック・ソウル・バンド。ソウル、ヒップホップ、ジャズファンク、アフリカ音楽、サントラ、ライブラリーなど、レコードマニアでもあるメンバー自身の好きな音楽に影響を受けたインスト・アルバム。本作は以前よりも自由なアプローチで制作されたらしく、それが伝わってくるカッコイイ仕上がり。メンバー5人中3人が同じ家(スタジオ兼住居)で暮らしているらしく、ジャケットもそれを表しているとのこと。リリースは信頼のBIG CROWNより。
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▼今月のSpotifyプレイリスト(紹介した曲以外にも、お気に入りを追加しています。雑多なラジオ感覚プレイリストです)
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②今月の読みかけ
気づくと、部屋には読みかけの本ばかり。積読と読了のあいだ。読書・現在進行形。
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画家の書いた文章(主にエッセイ)が好きだ。いい絵を描く画家はものの見方や世界の捉え方がひと味違っていて、文章を読んでも、なるほどと膝を打つことが多い。頭にある考えを自分の言葉にして表現できるから、きっといい絵が描ける(頭にあるイメージを自分の思い通りの色やかたちにして具現化できる)のだろう。
画家だけでなく、近しい人物が書いたエッセイも面白い。洲之内徹の名前は以前から知っていて(「気まぐれ美術館」など)、美術エッセイスト・小説家・画商という肩書はそそるものがあったが、あまり馴染みのない画家についての文章が多くなかなか手を出せずにいた。ある日書店で「洲之内徹ベスト・エッセイ1」を何気なく立ち読みしたら面白くて、これなら読めるかもと購入した。
寡聞にして知らない画家(主に日本の近代画家)についての文章も面白く、心配は杞憂に終わった。例えば、松本竣介、鳥海青児、村山槐多など、実際に絵を見てみたいと思った。1を読み終えたが、「セザンヌの塗り残し」「モダン・ジャズと犬」あたりが特に印象的だった。今は2を読んでいるが、「薬瓶」「穴を掘る」など、戦地での描写が心に残った。読み進めていくのが楽しみだ。
洲之内徹 著、椹木野衣 編
「洲之内徹ベスト・エッセイ1」「洲之内徹ベスト・エッセイ2」
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③今月のアート
美術館に行くと新たな出会いがあり、気分がリフレッシュされる。ここ数年(個人的にはコロナ禍が契機)、美術館に行く機会が増えていたが、今年に入ってますます作品や美術館への興味が強くなってきた。そんなわけで、備忘録的にちょっと書いてみる。
前述のとおり、GWは足繫く美術館に通った。大阪、奈良、京都で開催中の国宝展(どれも激混み!)や、神戸のクレー展と南蛮美術展、京都で開催されたKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭など、関西各所の気になる展覧会に行くことができた。今回はその中で、最もこじんまりした美術館を取り上げたい。
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■中野美術館(公式サイトはこちら)
GWのある日の午後、電車の中で「洲之内徹ベスト・エッセイ1」を読みながら、奈良・学園前にある大和文華館(こちら)へ向かっていた。ふと思い立ち、あわせて立ち寄れそうな美術館がないか調べたところ、すぐ近くに行ったことのない美術館があることが分かった。それが中野美術館。しかも洲之内徹のエッセイに出てくる画家の作品がいくつも展示されている様子。こんな偶然もあるんだ!呼ばれてる?と驚きつつ学園前に向かった。
中野美術館は閉館時間が16時と早めで、時間があまりなかったため、先に行くことにした(駅から向かうと、大和文華館の前を通り過ぎることになる)。
その日は「大正・
階段を下り、1Fの日本画展示室へ。
竹内栖鳳、土田麦僊など、じっくり堪能した。
吉野産赤杉をふんだんに使用した茶室(創設者・中野皖司の家業が林業だけある)を見ていると、余白の美という言葉が浮かんだ。普段なんと多くの物や情報に囲まれて過ごしているか思い起こされ、それって本当に必要?と問われているような気がした。
今回初めて来たけど、美術館も展示内容もすごく良かった。僕のほかに数組来られてたけど、多くの時間はほぼ貸し切り状態。とても贅沢な時間を過ごすことができた。すぐ近くの大和文華館まで来てるのに今までなぜ知らなかったのだろう?と思ったけど、一年中開いてるわけではなく、数か月は閉館しているようだ。建物も良かったし、ラウンジから蛙股池を望む景色も良かった。ぜひまたゆっくり訪れたい。
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その後、駅の方へ戻り、大和文華館「没後50年 矢代幸雄と大和文華館―芸術を愛する喜び―」へ。GWということもあり、こちらは結構人が多かった。見どころ多く楽しめたが、特に「婦女遊楽図屏風〔松浦屏風〕」が艶やかで煌びやかで、本当に素晴らしかった。また別の機会にこちらの美術館も紹介できればと思う。
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■編集後記
先日、苗を買ってきて畑に植えた夏野菜のうち、キュウリが7本できました。他のもたくさんできたらいいなぁ。採れたて新鮮野菜を食べるのが今から楽しみです。
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以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。