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[CD] マエストロたち

7
・キリンジ「7 -seven-」

今や日本を代表するポップ・マエストロである堀込兄弟の新譜は、前作「DODECAGON」の好調さをしっかりとキープした逸品。ソウル、AOR、ポップス、フォーク、レゲエ、カントリーなどをベースにしつつ、どこを切ってもキリンジ印の楽曲が並ぶ(時折スティーリー・ダンや大滝詠一が顔を覗かせるが)。ここまで粒揃いのポップ・アルバムはホント久々に聴いた。

前作でフィーチャーされていたエレクトロ風味が奥に練り込まれたことにより、二人のヴォーカリストとしての魅力と類いまれなるメロディセンスが浮かび上がってきた感じ(もちろんエレクトロも絶妙の隠し味になっている)。いい曲が目白押しの中、あえて1曲選ぶとすると、ゆったりしたビートに揺られる引っ越しソング「この部屋に住む人へ」(M-9)。心地よいリズム、彼ららしいメロディ、そして歌詞もキリンジ・テイストに溢れたナイス・チューン。最近キリンジ聴いてないよなぁという方もぜひ。メジャーデビュー10周年を迎えた彼らが新たな黄金期に入ったことを印象づける一枚。

K1
・鈴木慶一「ヘイト船長とラヴ航海士」

こちらは30年以上も第一線で活躍する日本ロック界のマエストロ、鈴木慶一の17年ぶりのソロアルバム。ムーンライラーズをはじめ(そう言えばこちらも兄弟でバンドやってますね)、色んなところで精力的に活動中なのはご承知の通り。このアルバムは各所で絶賛されていることもあり、熱心なファンとは言えない僕もいっちょ聴いてみるかと購入した次第。

で、期待半分、不安半分で聴いてみたんだけど、これは文句なしの傑作。言葉、声、音、すべてが素晴らしいッス。プロデューサーである曽我部恵一との相性もgood。いいねー、この「Keiichi」コンビ(ちなみに「KeiichiからKeiichiへ」という曲もあり。一枚通して音楽遺産が受け継がれるドキュメントとも言えるかな)。

つい何度もリピートしたくなる曲が並ぶが、特に「Sukanpin Again」「自動販売機の中のオフィーリア」「煙草路地」(はちみつぱい時代のリメイク。遠藤賢司ライクなヘヴィチューン)などが気に入った。若造には真似できない力強い筆致は、ニール・ヤングを彷彿とさせたり(随所に見える繊細さも含め)。まさにベテラン健在、しかもちゃんと今の音なのが嬉しい。飽きずに何度も聴いてるもんだから、「all right 船長」というコーラスが頭から離れなくて困ってます。まぁ、それくらい繰り返し聴けるアルバムってことで。宜候。


2008年ベストアルバム(啓蟄version)

気付いたらまた1ヶ月更新してませんでした。オススメCDは結構あるんですけど、例によってなかなか紹介できてません…。で、今回はオススメをまとめて紹介できるベストアルバム形式にしてみました(こちらこちらにヒントをいただきました!)。ということで、よろしくどうぞ。

Mvolta_g2 Oimperial2 Mrbeats2
1.THE MARS VOLTA/The Bedlam In Goliath
2.ORQUESTRA IMPERIAL/Carnaval So Ano Que Vem
3.Mr.BEATS a.k.a. DJ CELORY/Beautiful Tomorrow
4.CLARE & THE REASONS/The Movie
5.TOMI/Same
6.SEEDA/Heaven
7.HIM/1110
8.ROMANES/It's My Turn
9.LIGHTSPEED CHAMPION/Falling Off The Lavender Bridge
10.RUFUS WAINWRIGHT/Rufus Does Judy At Carnegie Hall



以下、つらつらコメントを。ちなみに上掲ジャケットはベスト3です。

1.は国境マスターも絶賛の一枚。去年もオマーのソロ関連は続々出てたけど、バンドとしては2年ぶり。ホント発売日が待ち遠しかった。ラテン風味が減退しているものの、今回も期待に違わぬ王道変異ロック。色んな意味で圧倒的。

7.と9.はタワレコの試聴機で初めて知った人たち。前者はドラマーがリーダーのユニット。ジャズ、ロック、ポップ、ワールドなど、ジャンル横断的で程良く前衛的。クラムボンの原田郁子さんも参加(これがまたいい)。後者は黒人SSW。ポップだけどちょっと風変わりなところが好み。

10.は去年出たライヴ盤だけど、先月ようやく購入(よって10位に)。才能溢れるSSWが自作曲を歌わないというのも面白いと思うし(ジュディ・ガーランドの名公演を完コピ)、ショービズのゴージャスさが本当に似合う人だとも思う。マガジン3月号にルーファス・ウェインライトとスフィアン・スティーヴンスの記事が載ってたこともあり、一時期はこの二人ばかり聴いてた。残念ながらルーファスは観れなかったけど、スフィアンは心斎橋クアトロで観ることができた(何と大阪公演はそれぞれ難波と心斎橋にて同日公演。どちらに行くかまさに究極の選択…)。ちなみにスフィアンにはちゃんと羽が生えてました。

4.はそのスフィアン・スティーヴンスに加え、ヴァン・ダイク・パークスも参加という豪華な一枚。お察しの通り、彼女はジェフ・マルダーの娘さん(マリア・マルダーとは血がつながっていないとか)。レトロでキュートな感じがちょっとジャネット・クラインを彷彿とさせる。スティールパンの響きもころころと気持ちいいッス。

2.はモレーノ・ヴェローゾ(カエターノ・ヴェローゾの息子)、カシン、ドメニコらを中心としたビッグ・バンドのデビュー作。カエターノの来日公演でも活躍していたペドロ・サーも参加。優美で清涼感ある豊かな音に惚れ惚れ。日本盤にはライヴのエクストラ映像も付いてます。

5.はスロヴァキア出身の変わり種。シルキー・ヴォイスが魅力だが、曲作りの才能もある将来有望な新人。ブルーアイドソウルや、スムースなソウルが好みなら聴いて損なし。プリンスの影がちらちら見えるのも個人的にはツボ。

3.と6.は久々にグッときた和製ヒップホップ。ともにトラックが相当カッコイイ!特にファンキーでダークなトラックは絶品。前者には豪華なゲストがズラリ。で、後者はそちらにも参加。

Romanes2 Ramones2
8.はRAMONESじゃなくて、ROMANES。その名の通り、ラモーンズの日本語カバーバンド(もちろん名字はみんなロマーン)。ガールズバンドってのもポイント高い。これが2ndらしく、今回からオリジナル曲も収録されている。とにかく潔いのが好もしく、ほとんどの曲が1分台。そして多くの曲が「1、2、3、4」ってカウントから入る(笑・ロック好きならこれは嫌いになれないでしょう)。本家の"End Of The Century"(写真右)を再現したジャケも愛に溢れた出来。上部の点線箇所に自分の写真を貼れば、今日からあなたもロマーンズに!



その他気に入ってるのは、
・V.A./細野晴臣ストレンジ・ソング・ブック - Tribute to Haruomi Hosono 2
・MARY J. BLIGE/Growing Pains
・CONJURE/Bad Mouth
あたり。特にCONJUREは待ちに待った日本盤。同時発売の旧譜"Music For The Texts Of Ishmael Reed"(ニューオリンズ産の名盤)もぜひ。ということで、近いうちにまた。