[SMH-CD] GREAT 3 / Richmondo High
June 13, 2009
「私的名盤アワー」第4回目は90年代の日本から。渋谷系のムードが高まりつつあった頃、ロッテンハッツという6人組バンドがあった。確かメジャーではアルバム2枚を出して解散、その後ヒックスヴィルとグレイト3という2バンドへ分裂した。
男ばかりの方のグレイト3は、片寄明人(近年は嫁さんショコラとのデュオなどで活動中)、高桑圭(カーリー・ジラフ名義のソロ"New Order"が今年出た)、白根賢一から成る3ピースバンドで、男気溢れるアメリカン・ロックからナイーヴなバラードまで、彼らにしか奏でられない音楽が鮮烈な印象を残した。
なかでも、この'95年リリースの1stは疾走感溢れる傑作で、今でも事あるごとに引っ張り出して聴いている一枚。懐かしの80's青春映画『初体験 リッジモント・ハイ』(*)をイメージしたとおぼしきタイトルからして、焦燥や情けなさの入り混じった青春の匂いがプンプンで(リリース当時タイトルを見て「おぉ同世代」と妙に感慨深いものがあった)、音自体もとても瑞々しい。
さて、肝心の内容について。頭5曲の流れが特に素晴らしいが、個人的なイチオシはM-5「エデン特急」。孤独なものどもの魂の彷徨。「どこか遠い街の/ボウリング場で/たったひとりで/プレイして」というフレーズがたまらなく好き。失うことを恐れず前進するんだという内容のサビもグッと来る。押し付けがましくないソウル・マナーにのっとったこの曲は、私的名曲のトップ40にランクインさせたいほど好き。
他にもいい曲が目白押しなんで、ザッと書いてみると。アイズリー・ブラザーズばりの強烈ギターとパーカッションがひっかき傷を残すM-3「I Believe In You」、情けない男の心情を歌わせたら右に出るものなしと言えるM-4「Oh Baby」(2ndの「Little Jの嘆き」も同様に素晴らしい)、シールズ&クロフツ名曲の哀愁カバーM-7「想い出のサマーブリーズ」、スティーヴィー・ワンダー風のハーモニカが飛び出すポップなM-10「Summer's Gone」、ラストの小品「My Bunny Eyes」などなど。今回何度もリピートして聴いたけど、ホントにいいメロディを書く人たちだよなぁと改めて思った次第。
今作を含め初期3部作と言える2nd,3rdも魅力あるけど、勢いと粒揃いの楽曲の多さで、この1stに軍配を上げたい(やっぱりこれがいちばん好きだなぁ)。2007年には紙ジャケで再発されたので、興味のある方はぜひどうぞ。いいバンドなんで、またいつか活動再開してほしいもんです。
以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。
(*)'82年作品。『あの頃ペニー・レインと』で有名になったキャメロン・クロウの脚本デビュー作。若きショーン・ペンが出演、そして当時人気絶頂アイドルだったフィービー・ケイツ(個人的には彼女のイメージが強い)などが共演。当時CMでトレーラーがよく流れてたこともあり、半分観た気になってるけど、たぶん未見。
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