[SMH-CD] BOBBY HUTCHERSON / Montara
July 11, 2009
暑いですねー。この感じだと、梅雨明けも間近でしょうか?
さて、不定期連載「私的名盤アワー」(少しご無沙汰でした)の第5回目はラテン・ジャズ。本作はヴィブラフォンの名手ボビー・ハッチャーソンがラテンに接近した傑作('75年作)で、暑い時には涼しげな音を、いやいや暑い時こそ熱い音を、というどちらの要望にも応えてくれる贅沢な一枚。
不穏な雰囲気がめちゃくちゃカッコイイ冒頭曲からグイッと引き込まれる(じわじわと迫りくる漆黒のグルーヴは70年代のアクション/刑事映画にハマりそうな音)。そのあとは、ゆるめのメロウ・グルーヴ、アップテンポなラテン・ジャズがバランスよく配置され、聴き応えのある楽曲がずらりと並ぶ。そして締めはティト・プエンテ作"Oye Como Va"(サンタナのカバーでも有名なラテン定番)。
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しかし何と言っても、このアルバムの白眉はタイトル曲。気だるくも涼しくもあるメロウ・ラテン・チューンで、夏の夕暮れ〜夜の雰囲気がこれほど似合う曲も珍しい。ご存じの方も多いと思うが、この曲はスチャダラパー「サマージャム'95」(名曲!)でサンプリングされており、あの涼しげなヴィブラフォン(マリンバ?)・ループの元ネタである(しかし、いちばんオイシイとこ使ってるよなー)。以下ご参考まで、YouTubeリンクを貼っときます。SDPのが好きなら、何も考えず買いでしょう。
これが原曲。
http://www.youtube.com/watch?v=riYBxOjLK2w&feature=related
こちらはSDPの名曲(2000年のライヴ・ヴァージョン)。
http://www.youtube.com/watch?v=I5phkgaAQj4
THE ROOTSのリミックスも悪くない。
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=aS39Gkfz81A&feature=related
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このアルバムは全体通して捨て曲なしで、36分強とコンパクトにまとまってるのもいい。おまけに、HARVEY MASON, RALPH McDONALD, WILLIE BOBO, BLUE MITCHELL, EDDIE CANOなど、参加メンバーも豪華。DJ/クラブ周辺では以前から人気盤だけど、もっと色んなところで取り上げられてもおかしくないアルバムだと思う。最近日本盤で新装再発されたんで、気になった方はぜひどうぞ。間もなくやって来る夏に向けて、ヘヴィローテーションになること間違いなし。
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最後に補足。ボビー・ハッチャーソンでいちばん有名なのは、名盤の誉れ高き"Happenings"(ジャケ左・'66年作)である。Herbie Hancockの名曲"Maiden Voyage"の秀逸なカバーを収録し(ハンコック自身も参加している)、ジャケもスタイリッシュとくれば当然だと思う。ただそれを承知の上で、僕は"Montara"に軍配を上げたい(どちらも好きだけど)。
またアブストラクトな感じのヴィブラフォンが好みなら、ERIC DOLPHYの"Out To Lunch"(ジャケ右・'64年作)もオススメ。これはドルフィーのリーダー作にハッチャーソンが参加し名を上げた、文句なしの名盤。両方ともジャズ好きなら基本中の基本だけど、未聴の方はぜひ聴いてみてください(ちなみに今回取り上げた3枚はすべてブルーノート)。
以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。
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