2009年ベストアルバム(ロック/ポップ編)
January 03, 2010
皆さま、お正月いかがお過ごしでしょうか?
大晦日の速報版に続けて、ベストアルバム(コメント入りversion)をお届けします。まずはロック/ポップ編から。2009年は日本人のをあまり聴けてないんで、海外とあわせてのランキングです。では、よろしくどうぞ。
1.CLARE & THE REASONS/Arrow
2.GEORGIE FAME & THE LAST BLUE FLAMES/Tone-Wheels 'A' Turnin'
3.FANFARLO/Reservoir
4.WILCO/Wilco(The Album)
5.YO LA TENGO/Popular Songs
6.MORRISSEY/Years Of Refusal
7.木村カエラ/HOCUS POCUS
8.RUFUS WAINWRIGHT/Milwaukee At Last!!! (CD+DVD)
9.カーネーション/Velvet Velvet
10.JOE HENRY/Blood From Stars
【総評】2009年は愛聴できる好盤に多く出会えた年だった。ベストテンに入れたものはどれもよく聴いたし、充実した内容のものばかり。量的には相変わらずアメリカのミュージシャンを聴くことが多かったけど、改めてベテラン・若手含め層の厚さがすごいなぁと。アメリカだけでベストテンやってもよかったくらい。イギリス、日本は聴いた枚数はさほど多くなかったけど、好きなミュージシャンがいいアルバムを出してくれたので結構満足した。
*
【アメリカ】ベストテン入りしたのは5枚。どれも以前から好きなアーティストだが、期待通り(もしくは期待以上に)クオリティが高かった。アメリカ音楽に興味ある人ならどれも聴き逃せないものばかりだと思う。
1位のクレア&ザ・リーズンズは極上のチェンバー・ポップ。スフィアン・スティーヴンスにも通じる(両者は実際に交流もある)非ロックな室内楽的面白さが際立っていた。クレア・マルダーのキュートな歌声、卓越したメロディセンス、趣味のいいアレンジ、さらりと聞き流すことのできない毒、それらが集約された好盤。すっかり愛聴盤となり、特に年末はずっとリピートしていた。
他の4枚は手短に。4位のウィルコ(4月の来日が楽しみ)はちょっとポップ寄りではあるが、幹の太いロックで底力を見せてくれた。5位のヨ・ラ・テンゴは振れ幅の大きい「何でもあり感」が魅力的。8位のルーファス・ウェインライトはライヴ盤にしてベストとも言える選曲。僕はDVD付きの輸入盤を購入したが(日本盤はバラ売り)、映像は色んな意味でさらに楽めた。ジョー・ヘンリーは息が詰まるほど濃密な傑作だが、気軽に聴きにくかった(?)ためか、上位ランクのアルバムに比べて聴く回数が少なく10位にした。
♪
なおベストテンには入らなかったが、なかなかの佳作が多い年だった(記述順にジャケを載せときます)。傑作と言っても良いデヴェンドラ・バンハート(最後までベストテンに入れるかどうか迷った)、さらに良くなってきた感じのするソニック・ユース、ポップ絵巻的なリチャード・スウィフト、ワールドミュージック好きにも聴いてもらいたいヒム、多方面で才能を見せつけたスフィアン・スティーヴンス(今回は映像メインのインスト作品)など。
また個人的には「アメリカ新世代」というべき新しい動きに興味惹かれた年だった。Red Hot Compilationシリーズの20作目"Dark Was The Night"がそれを象徴する一枚(そもそもはデヴィッド・バーン、アントニー、スフィアン・スティーヴンス、ベイルート、ヨ・ラ・テンゴらを目当てに購入←もちろんみんなgoodでした。特にアントニーの歌うディランカバーは絶品)。コンピ盤ということでベストテンには入れなかったけど、いちばんの重要盤かも。個人的にはもっと話題になってもいいんじゃないかと思う。
このコンピに参加していたアンドリュー・バード、グリズリー・ベア、ダーティー・プロジェクターズのオリジナル新譜もそれぞれキラリと光るものがあったし、このコンピの首謀者が在籍しているザ・ナショナルは特に素晴らしかった(2007年作につき選外に)。これらアーティストの多くや、前述のスフィアン、クレアも拠点にしているブルックリン周辺が騒がしくなってきており、今後さらに注目していきたい。
♪
2008年ほどではなかったが、ベテラン勢も頑張っていたのが印象的。ボブ・ディラン(※・3月の来日が楽しみ)、レヴォン・ヘルム(※・充実作)、J.J.ケイル、ランブリン・ジャック・エリオット(上述ジョー・ヘンリーのプロデュース)、ダン・ヒックスあたりはさすがの出来。また映像では、レナード・コーエン(※)がとりわけ素晴らしかった(ベストテンに入れたら上位に来たかも)。
女性ヴォーカルではノラ・ジョーンズ(※)、リッキー・リー・ジョーンズ、メロディ・ガルドー(※)、新人のダイアン・バーチ(※・今後楽しみな逸材)あたりが持ち味を発揮。内容的にはベストテンに入れても遜色ないものが多かったと思う。(※:上掲ジャケ)
以上、長くなりましたが、アメリカでした。以下はサクッといきます。
*
【イギリス】ベストテンにランクインした3枚はどれもよく聴いた。特に2位のジョージー・フェイムはあまりに良くてビックリした。まさに集大成と言える出来で、日本盤が出ないのが不思議。東京のみだったため9月のライヴに行けずホントに悔しかった(次回は大阪にもぜひ)。新人のファンファーロはネオアコ/ポップロック好きにはぜひ聴いてもらいたい好盤で(こちらもなぜ日本盤が出ないのか不思議)、期待を込めて3位に。6位には力強く潑剌としたモリッシーを。ジョージー・フェイムともども、まだまだベテラン勢も頑張ってるし、こういう風にフレッシュな音を奏でてくれるのは嬉しい限り。
他にはスーパー・ファーリー・アニマルズ(これも最後までベストテンに入れようか迷った一枚)、元スクイーズのポール・キャラック(ブルー・アイド・ソウル好盤)、プリファブ・スプラウト(復活盤)など充実した作品がいくつかあった。
*
【日本】ベストテンに入れた2枚は内容はもちろんだけど、ともに勢いがあった。紅白出場も果たした7位の木村カエラはいつもながら曲の良さに惚れ惚れ(特にアルバム曲)。2月にはベスト盤も出るし、今年はもっとファン層が拡がることでしょう。9位のカーネーションはキャリア20数年のベテランだけど、新しいスタートを切ったこともあって若々しく、文句なしにカッコ良かった。

他には、くるり(おやじロック世代にはツボ曲多し)、SCOOBIE DO(今回はメロウ度高め)、相対性理論(購入するのが遅かったため下位にしたけど、早ければベストテンに入ってたかも。妙にクセになる)、ムーンライダーズ(鈴木慶一ソロよりもこちらを)など。また9月にMJP Vol.10でご一緒したshort strapsも清々しく魅力的だった。ぜひ今後に期待したい。
*
ほとんどアメリカばかりとなってしまったけど(笑)、これが僕の2009年の状況だったということでしょう。ただそれだけ面白いものが多かったのも事実だと思います。今年の抱負としては、もう少し日本人のを聴くことと、もっとライヴ会場に足を運ぶこと。とにかく今年もたくさんいい音楽に出会いたいですね。
以上、長文となりましたが、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また(次回はブラックミュージック編をアップ予定です)。
大晦日の速報版に続けて、ベストアルバム(コメント入りversion)をお届けします。まずはロック/ポップ編から。2009年は日本人のをあまり聴けてないんで、海外とあわせてのランキングです。では、よろしくどうぞ。
1.CLARE & THE REASONS/Arrow
2.GEORGIE FAME & THE LAST BLUE FLAMES/Tone-Wheels 'A' Turnin'
3.FANFARLO/Reservoir
4.WILCO/Wilco(The Album)
5.YO LA TENGO/Popular Songs
6.MORRISSEY/Years Of Refusal
7.木村カエラ/HOCUS POCUS
8.RUFUS WAINWRIGHT/Milwaukee At Last!!! (CD+DVD)
9.カーネーション/Velvet Velvet
10.JOE HENRY/Blood From Stars
【総評】2009年は愛聴できる好盤に多く出会えた年だった。ベストテンに入れたものはどれもよく聴いたし、充実した内容のものばかり。量的には相変わらずアメリカのミュージシャンを聴くことが多かったけど、改めてベテラン・若手含め層の厚さがすごいなぁと。アメリカだけでベストテンやってもよかったくらい。イギリス、日本は聴いた枚数はさほど多くなかったけど、好きなミュージシャンがいいアルバムを出してくれたので結構満足した。
*
【アメリカ】ベストテン入りしたのは5枚。どれも以前から好きなアーティストだが、期待通り(もしくは期待以上に)クオリティが高かった。アメリカ音楽に興味ある人ならどれも聴き逃せないものばかりだと思う。
1位のクレア&ザ・リーズンズは極上のチェンバー・ポップ。スフィアン・スティーヴンスにも通じる(両者は実際に交流もある)非ロックな室内楽的面白さが際立っていた。クレア・マルダーのキュートな歌声、卓越したメロディセンス、趣味のいいアレンジ、さらりと聞き流すことのできない毒、それらが集約された好盤。すっかり愛聴盤となり、特に年末はずっとリピートしていた。
他の4枚は手短に。4位のウィルコ(4月の来日が楽しみ)はちょっとポップ寄りではあるが、幹の太いロックで底力を見せてくれた。5位のヨ・ラ・テンゴは振れ幅の大きい「何でもあり感」が魅力的。8位のルーファス・ウェインライトはライヴ盤にしてベストとも言える選曲。僕はDVD付きの輸入盤を購入したが(日本盤はバラ売り)、映像は色んな意味でさらに楽めた。ジョー・ヘンリーは息が詰まるほど濃密な傑作だが、気軽に聴きにくかった(?)ためか、上位ランクのアルバムに比べて聴く回数が少なく10位にした。
♪
なおベストテンには入らなかったが、なかなかの佳作が多い年だった(記述順にジャケを載せときます)。傑作と言っても良いデヴェンドラ・バンハート(最後までベストテンに入れるかどうか迷った)、さらに良くなってきた感じのするソニック・ユース、ポップ絵巻的なリチャード・スウィフト、ワールドミュージック好きにも聴いてもらいたいヒム、多方面で才能を見せつけたスフィアン・スティーヴンス(今回は映像メインのインスト作品)など。
また個人的には「アメリカ新世代」というべき新しい動きに興味惹かれた年だった。Red Hot Compilationシリーズの20作目"Dark Was The Night"がそれを象徴する一枚(そもそもはデヴィッド・バーン、アントニー、スフィアン・スティーヴンス、ベイルート、ヨ・ラ・テンゴらを目当てに購入←もちろんみんなgoodでした。特にアントニーの歌うディランカバーは絶品)。コンピ盤ということでベストテンには入れなかったけど、いちばんの重要盤かも。個人的にはもっと話題になってもいいんじゃないかと思う。
このコンピに参加していたアンドリュー・バード、グリズリー・ベア、ダーティー・プロジェクターズのオリジナル新譜もそれぞれキラリと光るものがあったし、このコンピの首謀者が在籍しているザ・ナショナルは特に素晴らしかった(2007年作につき選外に)。これらアーティストの多くや、前述のスフィアン、クレアも拠点にしているブルックリン周辺が騒がしくなってきており、今後さらに注目していきたい。
♪
2008年ほどではなかったが、ベテラン勢も頑張っていたのが印象的。ボブ・ディラン(※・3月の来日が楽しみ)、レヴォン・ヘルム(※・充実作)、J.J.ケイル、ランブリン・ジャック・エリオット(上述ジョー・ヘンリーのプロデュース)、ダン・ヒックスあたりはさすがの出来。また映像では、レナード・コーエン(※)がとりわけ素晴らしかった(ベストテンに入れたら上位に来たかも)。
女性ヴォーカルではノラ・ジョーンズ(※)、リッキー・リー・ジョーンズ、メロディ・ガルドー(※)、新人のダイアン・バーチ(※・今後楽しみな逸材)あたりが持ち味を発揮。内容的にはベストテンに入れても遜色ないものが多かったと思う。(※:上掲ジャケ)
以上、長くなりましたが、アメリカでした。以下はサクッといきます。
*
【イギリス】ベストテンにランクインした3枚はどれもよく聴いた。特に2位のジョージー・フェイムはあまりに良くてビックリした。まさに集大成と言える出来で、日本盤が出ないのが不思議。東京のみだったため9月のライヴに行けずホントに悔しかった(次回は大阪にもぜひ)。新人のファンファーロはネオアコ/ポップロック好きにはぜひ聴いてもらいたい好盤で(こちらもなぜ日本盤が出ないのか不思議)、期待を込めて3位に。6位には力強く潑剌としたモリッシーを。ジョージー・フェイムともども、まだまだベテラン勢も頑張ってるし、こういう風にフレッシュな音を奏でてくれるのは嬉しい限り。
他にはスーパー・ファーリー・アニマルズ(これも最後までベストテンに入れようか迷った一枚)、元スクイーズのポール・キャラック(ブルー・アイド・ソウル好盤)、プリファブ・スプラウト(復活盤)など充実した作品がいくつかあった。
*
【日本】ベストテンに入れた2枚は内容はもちろんだけど、ともに勢いがあった。紅白出場も果たした7位の木村カエラはいつもながら曲の良さに惚れ惚れ(特にアルバム曲)。2月にはベスト盤も出るし、今年はもっとファン層が拡がることでしょう。9位のカーネーションはキャリア20数年のベテランだけど、新しいスタートを切ったこともあって若々しく、文句なしにカッコ良かった。
他には、くるり(おやじロック世代にはツボ曲多し)、SCOOBIE DO(今回はメロウ度高め)、相対性理論(購入するのが遅かったため下位にしたけど、早ければベストテンに入ってたかも。妙にクセになる)、ムーンライダーズ(鈴木慶一ソロよりもこちらを)など。また9月にMJP Vol.10でご一緒したshort strapsも清々しく魅力的だった。ぜひ今後に期待したい。
*
ほとんどアメリカばかりとなってしまったけど(笑)、これが僕の2009年の状況だったということでしょう。ただそれだけ面白いものが多かったのも事実だと思います。今年の抱負としては、もう少し日本人のを聴くことと、もっとライヴ会場に足を運ぶこと。とにかく今年もたくさんいい音楽に出会いたいですね。
以上、長文となりましたが、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また(次回はブラックミュージック編をアップ予定です)。
Comments