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秋のレビュー祭り(4) ニューオリンズ・ファンク #1

こんにちは。皆さまいかがお過ごしでしょうか。台風が過ぎた関西地方ですが、今のところ曇天模様です。これから台風が近づく地域の方はくれぐれもお気をつけください。

さて秋のレビュー祭り、ちょっと間が空いてしまってスミマセン。このところ何かと慌ただしく、なかなか更新できずでした(今後はちょっとペース上げて行けると思います)。

そんななか最近は70年代〜80年代前半のソウル/ファンク/ディスコばかり聴いてました。何年かに一回、自分の中で大きな波が来るんですが、今回もそんな感じで。ということで、そういう波に乗っかった新譜レビューをお届けします。よろしくどうぞ。



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■TROMBONE SHORTY/Say That To Say This →公式サイトで試聴可(こちら

ニューオリンズの若手トロンボーン奏者(&トランペット、ドラム、ヴォーカル他)、トロンボーン・ショーティことトロイ・アンドリュース、待望のメジャー3rdアルバム。今作も期待に違わぬ出来で、デビュー時から一貫しているロック感覚を伴ったハードエッジな演奏がタマリません(ちなみに1stは2010年上半期ベストアルバムに選出済み)。新世代のファンキーさとヒップホップを通過した音像がとにかくカッコイイ。今回自身との共同プロデューサーに迎えたのは、ディアンジェロ、メアリー・J.ブライジ、ジョン・レジェンドetc.で有名なラファエル・サーディク。

ファンキーな曲は相変わらずパワフルだが、本作はメロウ、ミディアムR&Bもグー。ほんのりファンク風味のアーバン・メロウなんか最高すぎて思わずニヤけてしまう。晴れた朝に聴きたいほんわか日だまりインスト(その名も"Sunrise")も素晴らしいし。これは何曲かで共作&客演もしているラファエルの効果が大きいと思われる。押しの強さだけじゃなく、以前より引きも覚えて、音楽的に随分幅が拡がったような印象を受ける。

ゲスト陣では何と言っても、"Be My Lady"(M-5)に参加したオリジナル・ミーターズ!アート・ネヴィル、レオ・ノセンテリ、ジョージ・ポーター・ジュニア、ジョセフ”ジガブー”モデリステの4人が集結。彼らの名前を見ただけで興奮してしまうのは決して僕だけじゃないはず。現在は再結成しライヴ活動を行っている彼らだが、これが'77年の解散以降バンドとして初めての録音というから、ニューオリンズ・ファンク・ファンにとってはとても意義深い('77年発表のラスト・アルバムに収録されているのがオリジナルヴァージョン→YouTubeリンク)。この曲では、後からミーターズに加わったシリル・ネヴィルもヴォーカルで参加。思わず口ずさんでしまういいメロディを持つミディアム・ナンバー。

その他、"Fire And Brimstone"(M-7)はネヴィル・ブラザーズがカバーした"Fly Like An Eagle"(オリジナルはもちろんスティーヴ・ミラー・バンド)ぽい曲だったり、"You And I (Outta This Place)"(M-2)はレッチリのカバー?と一瞬思ってしまうようなファンク・ロックだったりと(間奏のトロンボーンがまた最高)、ロック好きにも十分アピールできる。

活きのいいニューオリンズ・ジャズ・ファンクにして、ヒップホップを通過したロックン・ソウル快作といえる本盤は、ニューオリンズ・ファンク愛好家、ギャラクティック好きはもちろん、レッチリやレニクラ聴いてフェスで盛り上がるロック・ファンにも絶対オススメ(フジロックにも参戦してたし)。収録時間が30分台というのもちょうどいい長さで、何度もリピートしたくなる。9月半ばに購入して以降、すっかりこの秋の愛聴盤になってます。僕は彼のライヴ未体験につき、このアルバム引っさげてぜひとも来日してほしい。生で聴きたい&音を浴びたい!



ということで、久々のレビューでした。次回もニューオリンズを予定してますので、お楽しみに。何とか早めに更新したいと思います。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。


秋のレビュー祭り(3) ブラジル発ファンキー・ブラバン

こんにちは。関西は10月にして真夏日となってますが(一体どうなってるんでしょうか?)、皆さまいかがお過ごしでしょうか。最近僕はすっかり「読書の秋」です。本屋に足を運んで色々物色するのが楽しくて仕方ありません。今までスルーすることの多かった理工系・建築関連にも面白い本を発見し、世界が拡がっていく感じですね。その分レコ屋に行く時間があまり取れてないんですが…。

さて引き続きワールドミュージック・レビューを。本盤も夏休みにエル・スールにてH店主にオススメされたCD。ズバリ好みの音で、すっかり愛聴盤になってます。ということで、よろしくどうぞ。



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■ORQUESTRA VOADORA/Ferro Velho →オフィシャルサイト(こちら)で全曲試聴可

ブラジルの大所帯ブラスバンドのデビュー作(バンド名は「空飛ぶ楽団」という意味みたい)。これがもう、爆音で聴きたい快作!リオのカーニバルに出てたブラバン+パーカッション集団が母体になってる様子(クレジット記載の主要メンバーは15人)。肝になるのは全体をグイッと引っ張る低音担当のチューバ。これに太鼓隊が絡んで生き生きしたグルーヴを導き出している。とにかく管バス(=チューバ)ならではの弾むビート感が素晴らしい。

加えて、選曲の何でもあり感がタマリません(アルバム未収録ながら、何と日本のスペクトルマンまでやってます。アメコミ調の映像も最高!←YouTubeリンク参照のこと)。本アルバム全11曲の内訳はカバー7曲:オリジナル4曲。音楽的支柱と思われるチューバのTIM MALIKが主として書いているオリジナル曲もいい感じだけど、とりわけカバーに興味深い曲が多い。以下、カバー曲を列挙してみると。

(非ブラジル系・4曲)マヌ・ディバンゴ"African Battle"、フェラ・クティ"Expensive Shit"、スティーヴィー・ワンダー"Superstition(迷信)"、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン"Know Your Enemy"。
カメルーン、ナイジェリア、アメリカの有名どころが並ぶ。個人的には特にフェラ・クティとスティーヴィーのが盛り上がるが、レイジは意外なセレクトで少しメタリックな感触もあり唸った。ロックギターのリフは結構ブラバンに合うと思うんで、ぜひ色々トライしてもらいたい。

(ブラジル系・3曲)ロベルト・カルロス"Todos Estao Surdos"(カエターノとも縁深いブラジル歌謡界の帝王。間奏でジョルジ・ベン"Ponta De Lanca Africano(Umbabarauma)"のフレーズも挟み込まれる)、セコス&モリャードス"Amor"(鬼才ネイ・マトグロッソ率いるブラジリアン・サイケ〜グラム・ロック・バンドの1st収録曲。オリジナル盤は激レア)。ムタンチス"Top Top"(ブラジル好きにはお馴染みムタンチス4thより。ムタンチス/リミーニャ作のポップ曲)。こちらは結構渋好みの選曲だけど、ホントどれもいい。興味を持った方はぜひオリジナルもあわせて聴いてほしい。



ただ音や言葉よりも、映像の方が彼らの魅力がダイレクトに伝わると思うんで、ぜひ以下の動画リンクを見てください!ホントに楽しいッスよ〜。

これを見るといちばん魅力が伝わるかも。パリの街を練り歩き(監督:ヴィンセント・ムーン)。音もいい!
これは盛り上がる!上述フェラのカバー。それにしてもこの人の多さ!
これも最高!上述スティーヴィー「迷信」のカバー。
これもカッコイイ。上述レイジのカバー。
これはアルバム未収録。WARの"Low Rider"。いいッスねー。



ブラスバンドと言えば、まずこのORQUESTRA VOADORAに直結する雰囲気を持つDIRTY DOZEN BRASS BANDなど、ニューオリンズ産のファンキーな楽団を思い出す。と同時に、'91年に発売された19〜21ユニバーサル・バンド「ブラスは世界を結ぶ」というブラスバンドのアルバムのことも。後者は20年以上経った今聴いてもふくよかで温かい、まろみのある音が素晴らしい傑作である。

このアルバムは19世紀後半まだジャズが生まれる前、世界中に散らばっていたブラスバンドの音(世界音楽)を現代の感覚で蘇らせた素晴らしい試みだった。故・中村とうよう氏、田中勝則氏、エンリッキ・カゼス氏らによる日本とブラジルの合同プロジェクトで、日本からはコンポステラが演奏に参加していた。今回紹介したORQUESTRA VOADORAがブラジル出身なのはもちろん偶然だが、その巡り合わせにちょっと驚いた。

20世紀に各地で花開いたポピュラー音楽の原型のひとつである19世紀型のブラスバンドが、1世紀飛び越えて世界で流行し、閉塞した21世紀の音楽シーンを活性化させたら面白いかも。もしかしたら、大友良英&「あまちゃん」スペシャルビッグバンドがその端緒かも?などと夢想したり。難しいことは抜きにして&話は戻って、このORQUESTRA VOADORA、ブラバン好き、ビッグバンド好きはもちろん、ニューオリンズ・ファンクやアフロビート好きにもオススメ!今いちばんライヴを見たい、というか、ぜひ楽団の後を一緒に練り歩きたい人たち!



思わず長文になりましたが、ホント、世界は広し。色んな面白い人たちがいます!まだまだ探求の旅は続きますが、次回また早めにお目にかかりましょう。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。