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最近のお気に入り(2024年vol.6)

近所にある幼稚園の桜がちらほら咲いてました。数日のうちに満開になるかもしれません。



ニューヨーク・ブロンクス出身(プエルトリコにルーツを持つ叔父夫妻に育てられた)でニューオリンズに拠点をおくSSW、Alynda SegarraのプロジェクトHurray For The Riff Raffが素晴らしい。この9thアルバム"The Past Is Still Alive"がNonesuch移籍後第2弾。フォーキーでカントリー、アメリカーナど真ん中と言っても過言ではない良作。

レコーディングの1ヶ月前に父親を亡くすという辛い時期に制作され、彼女曰く「時間、記憶、愛、そして喪失と格闘するアルバム」になったとのこと。ポップでありつつ、確かな手応えを感じる作品に仕上がっている。ドライヴ感あるカントリーロックは快調だし、フォーキーでメランコリックなバラードがまた沁みる。ツボを押さえたプロデュースはBrad Cook(Bon Iver、Waxahatchee、Whitney、Snail Mailなど手がけるキーパーソン)によるもの。

Lucinda WilliamsやSheryl Crowを彷彿させたり、Ry Cooderや久保田麻琴と夕焼け楽団に通じる曲もあって、ルーツミュージック好きには抗えない魅力あり。特にConor Oberst(Bright Eyes、Better Oblivion Community Centerなど)とデュエットしているカントリーワルツ"The World Is Dangerous"から、ペダルスティールとホーンが印象的な"Ogallala"への流れが素晴らしく、アルバムのハイライトとなっている。

ヴェンダースの映画のワンシーンみたいなジャケもカッコイイ(写真はTommy Khaによるもの)。今夏、Norah Jonesとアメリカ西海岸ツアーに出るようだし、これから更に多くの人に聴かれるのではないだろうか。Nonesuchのサイトに本作は「回想録であると同時にロードマップでもある」との記載が。今まで来た道を振り返りながら、これから新たな一歩を踏み出していく。そんな決意と希望を感じさせるところも。個人的に年間ベストアルバム候補の一枚。








今年はカントリーテイストの新譜にいいものが多い印象。また近いうちにアップできればと思います。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。


最近のお気に入り(2024年vol.5)

親戚の子がこの春から新入生になるという話を複数聞き、僕もフレッシュな気分になりました。



アトランタ出身のSSW、Faye Websterの新譜"Underdressed At The Symphony"がリリースされた。5thアルバムとなる今回もすごくいい感じに仕上がっている。

彼女の奏でる音楽は、カントリーテイストのインディーロックを軸にしながら、フォーキー、サイケデリック、R&Bなどがブレンドされている。今作でもMatt “Pistol” Stoesselのペダルスティールが心地よく響き、彼女の音楽の特色である、たゆたうような浮遊感を演出している。

今作ではWilcoのギタリストNels Clineが参加しているのも大きな聴きもの。彼の変幻自在なプレイはやはり素晴らしい。他には同郷の同級生Lil Yachtyのラップがフィーチャーされた曲もあって、バラエティに富んだアルバムとなっている。

たゆたうような上モノが印象的だけど、するりと流れ過ぎていかないビート感のようなものも同時に感じられる。そこはやはりヒップホップやR&Bが盛んな街、アトランタという土地柄なのかもしれない。








今年は新譜が豊作ですね。また近いうちにアップできればと思います。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。


最近のお気に入り(2024年vol.4)

昨日は裏の畑の甘夏を収穫。一本の樹から150個ほどの実が取れました。見た感じはそんなに多いと思わなかったんですが、意外となっててビックリしました。



ニューオリンズからナッシュヴィルへ。アメリカーナ新星、旅のはじまり。

ルイジアナ州バトンルージュ生まれでニューオリンズに拠点をおく新人SSW、Brittiが最近のお気に入り。文字通り挨拶代わりのデビューアルバム"Hello, I'm Britti."は、The Black KeysのフロントマンDan Auerbach(以下DA)プロデュース&共作の充実作。

大学卒業後、ニューオリンズの楽器店で働いていた彼女は、特に自らアクションを起こすことなく、歌手になるという夢の実現を先延ばしにしていた。恋人との別れやコロナ禍での一時帰休を機に一念発起し、週に1本以上のペースで自身が歌っている動画をアップし始めた。なかなか思い通りの反応がない中、お気に入りであるDAの"Whispered Words (Pretty Lies)"のカヴァーをアップしたところ、何とDA本人に見出され連絡が来た。その後DAのスタジオのあるナッシュヴィルに飛び、一緒に曲を作りレコーディングすることに。デビューに至る経緯はざっとこんな感じ。

彼女の豊かな音楽的バックグラウンドが生かされているアルバムは捨て曲なし。R&B(STAXっぽいサザンソウルやモータウンなど)やカントリーを軸にしつつ、ジャジーなレゲエもあり。マニアックなディープさよりも、開かれたポップさが印象に残る。いい意味での聴きやすさが彼女の魅力かと。

本作を聴いて思い出したのは、R&Bとカントリーの橋渡し的役割を果たした名作コンピレーション"Rhythm, Country & Blues"(1994年)や、Dusty Springfieldの傑作"Dusty In Memphis"(1969年)。あと紫系のジャケつながりで、Easy Eye Soundのレーベルメイト、同じくDAプロデュースのYola("Dancing Away In Tears"は名曲)。ジャンルを横断した活躍の予感もする彼女、今後注目していきたい。








今年は新譜が豊作ですね。また近いうちにアップできればと思います。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。


最近のお気に入り(2024年vol.3)

今まで何とかやり過ごしてきたんですが、ついにヤツ(花粉)にやられてしまいました。



去年10月にリリースされたInfinity SongのEP"Metamorphosis"が素晴らしい。特に"Hater's Anthem"はサイコーのソフトロック。流麗なメロディ、美しいハーモニー、皮肉たっぷりの歌詞に、鮮烈な印象を受けた。



彼らはニューヨークの兄弟姉妹グループ。元々はデトロイト在住で、幼い頃からThe Boys & Girls Choirs Of Detroit(創設者は彼らの両親)のメンバーとして活動。2006年に家族でニューヨークへ移住し、セントラルパークなどで音楽活動を行っているうちに、JAY Zと知り合う。その縁で、前作"Mad Love"(2020年)と本作は彼のレーベルRoc Nationからリリースされている。

収録曲は60年代後半~70年代前半の雰囲気を醸し出すものが多く、5th Dimensionなど思い出したり。耳に残る曲がたくさんあるけど、Fleetwood Mac"Dreams"のカヴァー以外は、すべて彼ら自身が書いている(共作含む)。ジャケもいいし、すっかり彼らのファンになってしまった。



本作は残念ながら、現時点でフィジカルのリリースはない。ただ近年の代表曲を集めたアルバム"Essentials"(本作5曲、前作6曲を収録)が今月末にレコード(限定盤)でリリースされる。彼らにとってレコードのリリースは初とのこと。これはぜひ入手したい。





新譜にいいものが多いので、また近いうちにアップできればと思います。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。