2013年ベストアルバム(コメント入り最終版)

こんにちは。寒い日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。僕は年末年始ちょっと風邪気味で体調あまり良くなかったですね(今はもうだいぶ良くなりました)。これから冬本番に向かいますし、くれぐれもご自愛ください。

大晦日に取り急ぎコメントなしでアップした年間ベストアルバムですが、体調がそんな感じでしたので正月休みに更新できず、すみませんでした。さらに年末年始はずっと大滝詠一氏の追悼モードでしたし…。少し遅れましたが、今日はコメント入り版をお届けします。では、よろしくどうぞ。



☆ベストアルバム

Jmonae_elady  Habate _yadelal  Jupiterokwess_hu
Masboppers_sb  Abeba_d  Dumpstaphunk
Jh6_minute  Mgaray_asado  Ovoadora_fv  Stromae_racine

1.JANELLE MONAE/The Electric Lady
2.HAMELMAL ABATE/Yadelal
3.JUPITER & OKWESS INTERNATIONAL/Hotel Univers
4.吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ/シニア・バカナルズ
5.ABEBA DESALEGN/Yelehubetim
6.DUMPSTAPHUNK/Dirty Word
7.THE JAMES HUNTER SIX/Minute By Minute (LP)
8.MININO GARAY Y LOS TAMBORES DEL SUR/Asado
9.ORQUESTRA VOADORA/Ferro Velho
10.STROMAE/Racine Carree

<コメント>
旧譜は相変わらず歌謡曲の7インチ中心に聴いていたが、新譜は例年に比べワールドミュージックとソウル/ファンクをよく聴き込んだ。特に夏〜秋以降に購入した盤が印象に残り、それでほぼベストテンを占める結果になった。ちなみにLPで購入した(7)以外は、すべてCD。

■ワールドミュージック
(2)(3)(5)(8)(9)(10)と久々に6枚ものアルバムがランクイン。引っかかりのあった傑作・充実作が他ジャンルよりも多かった。特に(2)(5)のエチオピア女性陣は歌・サウンドともに素晴らしく愛聴盤に。今回聴き込み不足で外したがアスター・アウェケの新譜も良かった(2014年ベスト候補?)。エチオピアはまだまだ面白い人がたくさんいそうなので、今後楽しみ。個人的に掘り下げていきたいところ。
コンゴ・ファンクの(3)、豊かな音楽性が魅力のアルゼンチンごった煮楽団(パリと行き来するパーカッショニストがリーダー)の(8)、ブラジル産ブラバンの(9)、フレンチ・エレ・ポップの(10)など刺激的な出会いが結構あり、世界には面白い人たちがたくさんいることを再認識した。他にまだしっかり聴けてないCDもあり、それは年初のお楽しみとしたい(気が向けばレビューもアップします)。ランク外となったがアジアやアラブにも好盤があったし、ワールドミュージック関連は今年も面白いことになりそうな予感。なおランクインした6枚はすべてエル・スール・レコーズで購入(今年もよろしくお願いします!)。

■ソウル/R&B/ファンク
日頃から熱心に聴いてるわけじゃないが、自分の波長と合った感じで、繰り返し聴けるものが多かったように思う。(1)は最新型R&Bというよりも、ロックやヨーロッパ映画音楽もぶち込んだハイブリッド・ポップの位置づけ。内容の良さは言うまでもないが、フルアルバム2枚目にしてようやく日本盤が出たのも嬉しかった(傑作1stは日本盤未発売のまま)。重量級ニューオリンズ・ファンクの(6)、パブロックテイストのUKソウル(7)(チェスレーベルの匂いもする好盤)など、高レベル盤に当たる確率が高かった。

■ロック/ポップス
珍しくランクイン作がなかったのに今更驚いた(前述(7)はこちらでもOKかもしれないが)。ただベテラン・ロック勢の佳作はそれなりにあり、特にポール・マッカートニー、エルヴィス・コステロ&ザ・ルーツらのイギリス勢が印象に残った。また購入時期が年末になってしまったので外したが、ポール・キャラックの新譜は内容が非常に良く、愛聴した(あまり日本では話題にならないのが残念)。次点としてぜひ挙げておきたい。

■日本人関連
毎年多くのアルバムがランクイン(もしくは別枠で10枚選出)するのだが、今回は(4)しかランクインせず。個人的にはちょっと面白いことになった。年を取るごとに味わいが増していく吾妻さん(たぶんこれからずっと好きでいるんだろうな)の他には、残念ながらベストテンに入れるほど愛聴したアルバムがなかった。(((さらうんど)))、一十三十一などは優れたシティポップだったが、キラキラした音が僕の気分にたまたまマッチしなかった。
僕の周辺では(Twitterなどの情報も含め)若手歌手・バンドを中心に割と盛り上がっていたような気もするが、僕自身のアンテナにはあまり引っかかってこなかった。理由はよく分からないが、自分のアンテナの向きが違う方向を向いていたのかもしれないし、自分の好みがまた変わりつつあることの兆しなのかもしれない。いずれにしても小手先で作ってみた類いのものではなく、幹がぶっといのを聴きたいなと。今年期待したいのはマンタ・レイ・バレエのフルアルバム。待望のデビュー・アルバムが、もうすぐ出るはず(だよね?)。



上記に載せたものも含め、次点的なものを挙げておきます。ご参考まで。

・PAUL CARRACK/Rain Or Shine
・PAUL McCARTNEY/NEW
・ELVIS COSTELLO & THE ROOTS/Wise Up Ghost
・TROMBONE SHORTY/Say That To Say This
・LORD MOUSE & THE KALYPSO KATZ/Go Calypsonian (LP)
・MOUSSU T E LEI JOVENTS/Artemis
・BOOM PAM/Manara & Summer Singles
・THE SOUL OF MAGNOLIA/Same
・LOS AMIGOS INVISIBLES/Repeat After Me
・(((さらうんど)))/New Age
・一十三十一/Surfbank Social Club
・冗談伯爵/ city line/bird man/雨あがり (CD-R Single)
・ASTER AWEKE/Ewedihalehu(→2014年候補?)



☆ベスト歌謡曲(シングル)

Nakanoaya_hotel  Amano_siosai

・なかの綾/ホテル(B面:ラヴ・イズ・オーヴァー) (7inch)
・天野春子(小泉今日子)/潮騒のメモリー (CD)

<コメント>
歌謡曲や80年代アイドルポップがマニア以外にも久しぶりに脚光を浴びた年だった。もちろん「あまちゃん」特大ヒットの影響が大きく、関連CDも出たり色々盛り上がった。小泉今日子と薬師丸ひろ子が年末の紅白で共演するなんて誰も想像できなかったし(上掲シングルはストレートな名曲)、これぞ昔の歌謡曲が持っていた正統派「お茶の間感」だと膝を打った。なかの綾はそれとは別のところにある「お水感」が魅力的だった(さすがは現役ホステス)。このシングルはサウンドの良さも相まって、両面とも何度も聴ける逸品だった。

きゃりーぱみゅぱみゅ、Perfume、ももクロ、AKB関連など、楽曲クオリティの高いアイドルもいるんだろうなとは思いつつ、どれも買わずじまい。世の中の過度なサウンド志向に対して、無意識のうちにどこか「歌」を求めてるからなのか?と思ったり(もちろん自分自身もサウンド志向なのは認めつつ)。職業作詞家・作曲家・編曲家チームがしっかり練って作った歌を聴きたいという欲求が自分のなかで高まっていて、往年の歌謡曲にあった輝きの源泉はやはりそこにあったんだろうと思うこと多し。そういうことにも関連して、個人的には『ラグジュアリー歌謡』が出たのも2013年の大きなトピックだった(ブログ関連記事)。



あと補足的につらつらと。

☆ベスト・ライヴ
・PAUL McCARTNEY @京セラドーム大阪(11/12)
(次点)MOUSSU T E LEI JOVENTS @心斎橋Conpass(9/27)
(別枠)国境の南マスター還暦祝ライヴ @渋谷gee-ge(10/19)

☆ベスト・アート(展覧会)
・「アンドレアス・グルスキー展」@国立新美術館
(次点:観た日順)
「マリオ・ジャコメッリ写真展」@東京都写真美術館
「ボストン美術館 日本美術の至宝」@大阪市立美術館
「北魏 石造仏教彫刻の展開」@大阪市立美術館

ベスト・ライヴは文句なしにポール!水も飲まずに歌って弾いて笑わせて最高にハッピーだった3時間。御年71歳とは思えない超人ぶり。また絶対来日してほしい。別枠で挙げたが、ポレポレバンドの再結成が個人的には本当に嬉しかった(アマチュアバンド最高峰)。マスター、今後ともよろしくお願いします。

あとベスト・ブックを選ぼうとしたが、選べるほど新刊を読めてないので見送り。新刊ではないが印象に残った本として、『ちょっとピンぼけ』 (ロバート・キャパ)を挙げておく。昨年が生誕100周年だったキャパだが、日本ではさほど話題にならなかったのが残念。この本はエンターテインメント性に富んで、とにかく面白い。写真や現代史に興味のある人はぜひ。

残念ながら、2013年も多くの方が亡くなった。島倉千代子さん、岩谷時子さん、J.J.CALEなど、、。特にLOU REEDが亡くなったのには非常にショックを受け、しばらく彼の音楽ばかり聴いて過ごしていた。そして言うまでもなく、年末ギリギリに飛び込んできた大滝詠一さんの訃報、、。これには言葉を失った。謹んで故人のご冥福をお祈りします。どうぞ安らかに。



ということで、長文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。気が向けば再発・発掘盤のオススメもアップできればと思います。

今年もいい音楽にたくさん出会いたいですね。そのためにはできるだけ動き回って、現場(ライヴ会場やレコ屋など)に足を運ぼうと思ってます。また自分の主催イベントもいくつか新たな展開を考えてますので、お楽しみに。本ブログももう少し更新頻度を増やしていきたいと思ってますので、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。


[CD] 最近のオススメ(コロンビア編)

今日からGW突入という方もいらっしゃるでしょうか。休み中は音楽も行楽も、といきたいですね(僕の場合、体力あればですが)。

先日、京都国立博物館で開催中の「長谷川等伯展」に行ってきました。短期間開催、しかもGW周辺の京都ということで激混みでしたが、並んだ甲斐のあるとても素晴らしい回顧展でした。国宝「松林図屏風」をはじめとする水墨画(とにかく空気感が絶品)、金箔画など特に見応えあり。さほど有名でない絵に惚れ惚れすることが多く、また等伯のオールマイティさに驚嘆しました。

有名な作品も実物を見ると印象が変わったりして非常に面白いです。混雑が予想されますが、日本絵画に興味のある方、GW中に京都へ行かれる方はぜひお立ち寄りください。ちなみに僕が行った時は100分待ち(!)のアナウンスでしたが、結局1時間ほどで入館できました。暇つぶしのお供に何か持って行かれるといいと思います。



さて、ワールドミュージックを中心にオススメCDがたまってきました。今回はコロンビア関連の再発盤を2枚ご紹介。では、よろしくどうぞ。

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ANIBAL VELASQUEZ Y SU CONJUNTO/Mambo Loco

まずはアフリカ音楽ファン、レア・グルーヴ・ファンにはお馴染みアナログ・アフリカからの再発盤(初の南米ものリリース)。ジャケだけでピンと来た一枚。このコロンビア出身のアニーバル・ベラスケスは初めて聴いたけど、アコーディオン好きの僕には大ヒット。ウキウキするようなフレーズが随所にあって、とにかく楽しい。個人的には上半期最大級の当たり盤。

ジャンル的にはグァラーチャ、ソン、クンビア、デスカルガ、マンボ、グァヒーラといったところが記載されており(ただ彼独自の解釈も含んでおり、必ずしも一般的な認識と合致していない曲もある)、ヴァラエティに富む編集となっている。また年代は'62〜'78年録音のものを収録しているようだ。

ブックレットなど熱意が感じられる作りに好感が持てるが、やはり録音データは記載してほしかったなぁ(詳細不明なのでしょうか?)。なおCDにはエクストラ映像付き(現在のアニーバル・ベラスケスの姿も見れます)。ラテン音楽ファンはもちろん、古今東西のアコーディオン愛好家やスウィング好きにもオススメ。



Afro_colombia1
V.A./The Afrosound Of Colombia Vol.1

続いて、こちらもレア・グルーヴもののリリースでお馴染みVAMPI SOULからの再発盤。カッコイイ曲がほどほど入ってればいいかなと思い購入したのだが、予想を大きく超える面白さに正直ビックリ。とにかく中毒性が高く、ついつい聴いてしまう。上半期最大の当たり盤はこれかも。

コロンビア産ファンキー&アフロ系ナンバーがぎっしり詰まった本作は、60〜70年代Discos Fuentes音源からのセレクト。冒頭からサイケ・ファンク、ムーグ飛び交うクンビア、犬猫声入りサイケ・アフロ・ボンゴ・ビートと予測不能な3連発で始まり、このまま飛び道具ばかり続くのかと思ったところで、ようやく普通のラテン・ナンバーが出てくるファンキーな展開(こういう並びで聴くラテンがとても爽やかに聞こえるのは狙い?)。

音的には、ラテン〜サルサ、アフロ・ビート、クンビア、スカ、トロピカル、サイケ、ファンク、ブーガルー、そして歌謡曲的なものまでと、とにかく何でもあり。DJ諸氏には"Jungle Fever"などレア・グルーヴ系曲のカバーが収録されているのもポイントか。曲自体のグルーヴィーなカッコ良さに加えて、全体を覆う猥雑さと謎度の高さがタマらない。

レア盤ジャケ多数掲載のブックレットも充実しており、ぜひオススメしたい。もちろんワールド系DJは必須でしょう(アナログ3枚組もあり)。全43曲・CD2枚組・2時間半を超えるボリュームで、これがVol.1というから恐ろしい(笑)。底知れぬコロンビア、続編も大いに期待したい。



以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。

秋の日

皆さま、連休最終日の夜、いかがお過ごしでしょうか。

僕は昨日関西旅行に来ていた大学時代の友人夫妻にお供し、法隆寺周辺を観光してきました。法隆寺に行くのはたぶん5年ぶり。前回行った時は小雨模様だったのですが、今回は秋晴れでホント気持ち良かったです。

Horyuji_matsuri  Yumedono ←クリックで拡大(以下同様)
ちょうど法隆寺近くの斑鳩神社の秋祭りが行われており、神輿の担ぎ合いを間近で見れました(写真左)。昼ご飯(「芳庵」で食べたカツ丼が思いのほか美味しかった!)を食べた後は夢殿へ(写真右)。いつ見てもいいですねー。

Horyuji_sky
秋は空が高くて、とても気持ちいいです。

Horinji_niji
藤ノ木古墳、法起寺と巡った後、夕方4時前に法輪寺へ。ふと空を見上げると雨も降ってないのに、なぜか虹が出てました。いいもん見れた。

最後にファミレスで色々話してから帰宅。久々に二人と会えてホントに楽しかったです。改めて奈良の良さを発見した一日でした。

皆さま、これからの季節、ぜひ関西へお越しください(連休の京都は激混みだと思いますが…)。色々ご案内させていただきますよ。ではでは。

「BIOMBO/屏風 日本の美」展ほか

先週日曜、大阪市立美術館「BIOMBO/屏風 日本の美」展を見に行ってきた(12/16まで開催中)。先日見た京都の狩野永徳展(こちら参照)と違って人も少なく(それでもぼちぼち入ってたけど。あくまで比較の問題)、ゆったりと見ることができて幸せな気分に浸れた。やっぱりこれくらいの余裕がないとね。前後半で入れ替えが結構あるため、もう一回行こうかと画策中。以下、特に気に入ったものを列挙すると。

*泰西王侯騎馬図屏風(サイズがでかく、惚れ惚れ。エチオピア王の姿も)
*レパント戦闘図・世界地図屏風(前者はレパントの海戦、後者には人魚も)
*豊国祭礼図屏風(輪になった民衆の躍動感)
*柳橋図屏風(色も渋く、スタイリッシュ。現代でも十分通じるデザイン感覚)
*四季折々の風俗画(特に田植え・収穫など農作業の風景があるもの)

事前に想像していたよりも非常に見応えがあり、大満足。とりわけ上の二つは、日本+異国(日本画+洋画、屏風+異国の人・物・事)のB級的な混ざり具合が抜群。南蛮屏風(後半で展示。見たい!)にも通ずるエキゾチシズムとともに、本物にはなり切れない「えせっぷり」がたまらなかった。これはラテン歌謡などの「まがい物」が好きな音楽の趣向にもつながってるんだろうなと思ったり。また僕自身が最も興味のひかれるポイントは、異文化が交差するところ(誤解や曲解も含め)にあるんだなと再認識したり。屏風そのものの素晴らしさに加え、そんな自分の立ち位置を確認できたことも有意義だった。



当日は文庫本も久々に購入。まず古本屋で「果実酒入門」(カラーブックス)を。美術館では「江戸商売図絵」を。特に後者はすべて図入り、600ページ超の労作。衣食住、薬、芸能などに加え、物貰いや季寄せに関する仕事も紹介されている。昔は色んな商売があったんだなーと(今でも残っているものもあるが)、パラパラめくって楽しめる一冊。「わいわい天王」「すたすた坊主」「親孝行」という仕事(笑)が、どんなのか気になる方はどうぞ。



江戸/芸能つながりで言うと、落語特集の雑誌も買ってたっけ。サライ「続・落語入門」、男の隠れ家「落語を愉しむ」がそれ。喜んで買ってきたはいいけど、ゆっくり落語を愉しむ余裕がないんだよなぁ…。何とか時間を捻出したいとは思ってるんだけど。寄席にも行きたいしね。



日記をご無沙汰してるんで、最後にちょっと近況報告。つい最近新しく始めたことがあって、平日も休日も結構忙しくしてます。以前に比べてまとまった時間が取りにくくなってるんですが、細切れの時間で何とか音楽聴いたりしてます。日々忙しいけど、楽しくやってます。ホントありがたいことです。


狩野永徳展

Eitoku01 Eitoku02

http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html

http://eitoku.exh.jp/index.html

深まりゆく秋。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?秋と言えばやはり展覧会の季節。で、先週の土曜、ぐずつく天気の中、京都国立博物館まで狩野永徳展(上記URL参照)を見に行ってきました。土日は混んでるだろうなと覚悟してましたが、昼過ぎに行ったらやはり50分待ちでしたよ…(でも実際はもう少し早く入場できました)。まぁ若冲展のことを思えば、随分と楽でしたが(今回は一人じゃなかったこともあり)。

結論から言うと、少しでも日本絵画に興味のある人、ガツンとした美術を見たい人は必見です!とにかく見どころ満載で面白かった。そして、すごかった。史上初の大回顧展(意外にも)ということで期待していたんですが、規模も内容も予想以上でした。

展示は後半に行くに従い、金ピカ度が増してきます(それに比例して絵の迫力も増してきます)。しかもこの金ピカが何ともシックで品があるんです。画集なんかで見るのと違い、金箔についてはホント実物を見ないといけませんね。全然印象が違いますから(3年前に琳派展見た時に痛感しました)。あと金ピカ度が増すということはそれだけ金(かね)がかかっているということで、おのずと画家のテンションも上がってるのかもしれないなとも思いました。

オススメはとにかく唐獅子(誰でも知ってるあれ・写真右下部)です。サイズも一際でかく、ド迫力です。あまりに圧倒的で、入館してから見た数十点の印象がすべて吹っ飛んでしまうほどでした。誰にも真似のできないテクニック(10代にしてニクイほど絵が上手いです)で思いもよらないブッといものを作り出し、しかもそれがスゴすぎて笑っちゃう感じは、まさに桃山時代のフランク・ザッパ!(時代もジャンルもめちゃめちゃですが)。

他には有名な檜図(漲るパワー・写真右上部)や四季花鳥図(金泥の美しさ)もとても素晴らしかったです。彼が10代で書いた絵を見れば、そして20代前半(!)で洛中洛外図を完成させた力量を鑑みると、真の天才というのはこういう人のことなんだなと思わざるをえません。もちろんただ絵が上手いだけじゃなく、信長や秀吉と渡り合うだけのパワーや人間的スケールがあったからこそ、彼らに気に入られたのかもしれませんね。

本展覧会は京都のみの開催ですし、終了が近づくにつれてますます混雑するとは思いますが(しかも観光シーズン真っ只中←これ狙いすぎでは?)、興味のある方はぜひに&お早めに!入館後もたっぷり2時間以上かかりますんで、体力と気合いが必要ですけど。ただそれだけの価値は十分すぎるほどあると思います。

若冲に永徳と、今年は近年稀にみる日本美術の当たり年です(あくまで個人的にですが)。ちなみに3年後は長谷川等伯の大回顧展やるみたいですよ。玄関に予告の立て看ありました。これも絶対行かなきゃ!



すっかり唐獅子にヤラレた後、四条に移動。老舗の和食弁当→こじゃれたバー→タワレコ(笑)→珈琲というフルコースで京都を後にしたのでした。


[Diary] 6/16

Kume01 Kume02
あじさいを見に行こうと思い立ち、午後から久米寺へ。奈良のあじさい寺としては矢田寺が有名だけど、こっちの方が家からは行きやすいんで。割とマイナーなお寺だけど同じように考える人たちが多いのか、お客さんはたくさん来ていた。

「あじさい祭り」開催中の「あじさい園」では、和洋40種、3,000〜4,000株のあじさいがちょうど満開。1時間ほど見て回り、すっかり堪能。以下、疲れ目の保養にどうぞ(山ほど写真撮ったんで、余裕があれば別途アルバムにアップします)。

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(写真左)多宝塔&よく目にする種類のあじさい。(写真右)花の部分がちょっと変形。柔らかな色合いが美しい。

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形もいろいろ。右のは花火?宇宙ステーション?

Kume07 Kume08
ホント色んな種類があるなぁと。勉強になりました。

Kume09 Kume10
金ピカ大日如来像を拝んでから、久米寺をあとに。

ーーー
駅のドトールで一休み。本屋でBRUTUS最新号(食のトレンド番付)を購入して帰宅。

阪神、9回表に一挙9点(!)を入れて、ロッテに大逆転勝利。2-7から11-7ってスゴイ。これで波に乗ってくれるといいんだけど。


[Diary] 6/10

朝早く目が覚めてしまう。なかなか眠れないのでチェット・ベイカーを聴く。続けて木村カエラ、キング・クリムゾン。盛り上がってしまい、案の定、寝付けず(笑)

昼、Amazonからもろもろ届く。ポール・マッカートニーの新譜、クロディーヌ・ロンジェ再発盤に加え、またイーノとロキシーを買ってしまった。

今日は田植えにつき、家族が早朝から出て行った。夕方まで留守番したあと外出。田植えの済んだ田んぼに映る青い空と白い雲。美しき田園風景。

夜、「新日曜美術館」でモネを見る(大回顧展やってるんですね)。今はそれほどでもないが、大学時代はモネが大好きだった。じっくり座って実物を見たい気もした。

阪神、林のホームランでサヨナラ勝ち!


[Diary] 5/30

はげしい雨が降る(ディラン風)。

雨が止んでから、近所の本屋へ。先日創刊された「週刊 日本の仏像」、本日創刊の「週刊 仏教新発見」など購入。特に前者は仏像好きにはたまりません。これからも要チェック。それにしても古寺/仏像/仏教と相次いで刊行されるなんてねー。

昨日の流れでトーキング・ヘッズを聴く。その絡みでブライアン・イーノworks(およびロキシー・ミュージック)について調べる。そう言えばイーノはテープしか持ってないなぁ。ちゃんとCDで聴き直してみようかな。


[Diary] 5/28

Syokokuji Syokokuji2
朝早く起きてしまい、しばらくウダウダ。これじゃいかんと一念発起し、午前中から出かける。行き先は京都。相国寺承天閣美術館で開催中の「若冲展」を見に行く(公式サイトはこちら)。ついにあの「動植綵絵」30幅(+釈迦三尊像3幅)が揃って拝めるんで、寝不足ながらもワクワク。本当はもっと早く行くつもりだったのに、このところ何かと忙しく、結局最終週になってしまった。

Jakuchu_2
月曜だけど混んでるだろうなと覚悟して行ったが、昼12時前に着いてみると、人、人、人の行列。これの最後尾に並ぶわけ?と行列が嫌いな僕はひるんでしまったが、ここで帰るわけにはいかないとすました顔でオバサマたちの後ろへ。すかさず追い打ちをかけるように「90分待ち」とのアナウンスが…。

相当並ぶという情報を前もって入手していたので、水、文庫本、iPodと準備万端(これから行かれる方は、飲み物、暇つぶしの何か、ちょっとした食料、女性の方は日焼け対策など準備されることをオススメします。あとはトイレも注意)。待っている間、水をチビチビ飲みながら、iPodでウィルコとBENNIE Kを聴く。もちろん人間ウォッチングも抜かりなく。特に、大学教授と女子大生の不倫カップル(とおぼしき)二人組の動向からは目が離せず。

一番混んでる時間帯に行ったようで、第一展示室に入場するまでに、結局2時間弱かかった。iPodでアルバム2枚聴き終わるところだった(早めに開場しているようなので、これから行かれる方はとにかく朝イチに行くのがベストだと思います。情報によると、今日6/2土曜日お昼の時点で、待ち時間3時間以上とか!明日の最終日が恐ろしいです)。そしてふと思う。これだけ人がいてみんな整然と並んでいる日本人って、ある意味スゴイ国民だなと。

ようやく入場し、第一展示室へ。ここでは若冲作品のみに的を絞り(他はすっ飛ばし)、葡萄や竹や芭蕉の襖絵など (すべて鹿苑寺大書院障壁画)を堪能。特に「月夜芭蕉図」は寸法も大きく迫力満点、しかも墨絵なのに南国ムードたっぷりで、えせ南国大好きな僕にはたまらないものがあった。

そして釈迦三尊像と動植綵絵のあるメインの第二展示室へ。入場制限があり20分待たされるも、そうしないと場内大混乱だったはずなので、結果的には良かった。2時20分頃入場し、お行儀良く入り口から順番に見ている人たちを尻目に、至近距離で見れそうなものからどんどん見ていく(絵巻じゃないんで、右から順に見る必要ないと思うし、多いところでは人垣が4重にもなってたので・汗)。じりじりした動きに我慢しながら、また周りのプレッシャーをビンビン感じながら(笑)、かぶりつきでみれるものはできるだけ細部までじっくりと見た。何せあの「動植綵絵」、いくらじっくり見ても見飽きることがない(ただこの人混みじゃ立ち止まることがなかなか難しかった)。

一応、一通り見たなと思ったが、当然それだけじゃ満足できないので、またあっちこっち移動する。特に好きな絵は何度も何度も戻ってきては眺め、また全体を俯瞰できる位置に戻ってきては眺め、そんな動きを繰り返す。端から見たらかなり挙動不審だったと思う。一応得心したと思い、4時間ほど立ちっぱなしで足がパンパンになってきたのもあって、3時50分頃に展示室を出る(結局この部屋に1時間半ほどいたことに)。

感想をと言いたいところですが、残念ながら、僕はこの作品群を語り尽くす言葉を持ちません。圧倒的な美しさ、精緻さ、力強さ、鋭さ、柔らかさ、そしてユーモアのセンスにひれ伏すのみでした。カッコイイ鶏をたくさん見れただけでもホントに感激ものでしたが、すべての生き物が神々しいまでのオーラを放っていました(これはやはり揃って見るものですね)。とくにオウムの白色はあまりにも鮮烈で、やはり絵は画集(印刷物)ではなく、生で見るものだという思いを強くしました。

今まで数々の展覧会を見てきましたが、ここまで会場を去りがたい気持ちになったのは、MOMAで見たマティスの「ダンス」以来かもしれません。本当に至福の時間を過ごすことができました。この機会を作ってくださった皆さん、そして何よりも若冲氏に感謝します。

こうして一堂に会して見れるのはあと数十年後かもしれませんので、機会のある方はぜひ足を運んでみてください(もう明日で終了ですが…)。結構な体力がいりますが、展示室に入った途端に疲れも吹き飛びますんで。

ちなみにこの日に図録が売り切れましたが、無料で配送してくれました(もうすでに重版されて、会場にブツはある様子)。重い荷物を持ち歩かなくて済んで、個人的には助かりました。帰宅後は買ってきたポストカードを眺めて余韻に浸ってます(図録到着はまだ少しかかりそう)。最後に。売り場スタッフの方々、無駄に美人が多かった(笑)ということを付け加えて締めくくりとします。

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今日のできごと備忘録。「殯の森」がカンヌ映画祭でグランプリ受賞(こちら参照)。松岡農相、ZARD坂井泉水さんの訃報。家族のことでひとつ良かったことあり。


「若冲展」追加情報

http://jakuchu.jp/jotenkaku/

こちらこちらでも書いてますが、現在、京都・相国寺承天閣美術館にて「若冲展」が開催中です。混雑を避け、僕は何とか早めに行こうと画策中。なお上記サイトにて混雑状況が見れるのが嬉しいです(携帯からもOK)。葵祭の直後につき、今日あたりは混んでたかもしれません。ぼやぼやしてたら、あっという間に最終週になりそう。万が一、見逃しでもしたら一大事。気をつけねば。

(5/17追記)
上記サイトにて、第二展示室(33幅が展示されている部屋)のパノラマプレビューが見れるようになりました。PC画面を見ているだけで、興奮して倒れそうです。こりゃ実物見たら、相当ヤバイです(笑)

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放送日程が近くなってきましたんで、MBS毎日放送の関連番組情報もアップしときます。なお、放送予定は変更の可能性もありますので、その旨ご了承ください。

http://www.mbs.jp/ky/

まず帯番組「美の京都遺産」(日曜朝6:15〜6:30)で、相国寺と若冲が取り上げられます。サイトには5/20(日)、27(日)の放送分が載ってます。以前入手した情報によると、6/3(日)も引き続き同時間帯で放映されるようです。

http://www.mbs.jp/pgm/info/1179131639.shtml
http://www.mbs.jp/pgm/timetable/daily/20070520.shtml

そしてこちらは特別番組「若冲降臨。増殖する細胞」。5/20(日)深夜24:30〜25:30に放映予定とのこと(日付は月曜)。チラシでは『5/20(日)午前0:30〜1:30「若冲の眼」(仮)』と記載されていた番組が、これだと思います(あくまで推測ですので、悪しからず)。ちなみに出演者として、辻惟雄さん(当然ですね)や 茂木健一郎さんも予定されています(しかし茂木さん、ホント売れっ子ですな)。毎日放送、力入ってます。

興味のある方は(おそらく関西ローカルだと思いますが)、要チェック・要録画ですね。