春の盤まつり(2) チリの凜々しい女性ラッパー

こんにちは。今日は肌寒く、不安定な天気ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。今年はタイミング合わず、僕は花見らしい花見はせずに終わりそうですが、今日で桜の花も散っちゃうんでしょうね。

さて桜吹雪の中、「春の盤まつり」は続きます。第2回目も南米で行きましょう。今回は注目すべき女性ラッパーfromチリをご紹介。世界はホント広いですね。よろしくどうぞ。



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■ANA TIJOUX/Vengo →音源試聴はこちらこちらなど

チリ人女性ラッパー、アナ・ティジュの新作(4thアルバム)が素晴らしい。彼女の音楽は初めて聴いたけど、一発で気に入ってしまった。ピノチェト軍事独裁政権に抵抗する反体制活動家を両親に持ち、亡命先のフランスで生まれたのが彼女。ライナーによると「ヒップホップを選んだ」のは「世に伝えたいことを的確に言葉で表現」するためだという。女性の闘士を描いたイラストがブックレットにもあるが、まさに彼女自身が決意を持った闘士である(反体制、反グローバリズム、環境問題、少数民族問題、都市化弊害、、というキーワードが浮かんでくる)。

もちろん音楽性も豊かで、聴き飽きない。「私はやってきた」という意味のタイトルである本作は、ケーナの音に導かれるようにして始まる。フォルクローレ、ジャズ、ソウル、サントラなどを練り込んだバックトラックは、センスがあってカッコイイ。いい意味でオーソドックスなヒップホップである。曲間のスキットもいい具合だし。スペイン語のレベル・ミュージックということもあって、時折マヌ・チャオを思い出す瞬間も。個人的には今年のベストアルバム候補に。オススメ!

またM-2(リンクはこちら)ではパレスチナ系英国人の女性ラッパー、シャディア・マンスール SHADIA MANSOUR (彼女のカッコ良すぎるPVはこちら)が参加しており、同志的なつながりを感じさせる。世界とのつながりということで言えば、アルバムには未収録だが、反TPPソング"No Al TPP"も発表している(PVはこちら)。クラシカルなボサノヴァが胸を打つ。彼女のブレのない凜々しい姿に、感じるもの多し。



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■ANA TIJOUX/1977 (左・2nd・2009年)
■ANA TIJOUX/La Bala (右・3rd・2011年)

彼女のはぜひ遡ってアルバムを聴いてみたいと思い、上掲の過去作を早速購入(この2作ともグラミー賞にノミネートされた)。まだ新作ほど聴き込めてないが、さすがに内容充実しており、カッコイイ。後者には、僕の大好きなウルグアイのホルヘ・ドレクスレルも参加していた。

また「1977」のライナーによると、このアルバムはクラシック・ヒップホップへのオマージュが捧げられているようだ。特にNAS、Wu-Tang Clan、A Tribe Called Questらの名作がリリースされた'92〜'95年の黄金期(彼女がいちばん好きな時期)に対する思い入れが強く、それらのような飽きられないスタイルの作品を作りたいという確固たる意思がある模様。なるほど、確かにその辺の音作りを踏襲しているなと思ったし、今でも十分通用するカッコ良さとシンプルさがあると思う。また最近、僕自身、90年代前半の音を無性に聴きたくなることがあり、不思議とシンクロしていた。20年経って、90年代もそろそろ再評価の時期に来てるのかも。



ということで、アナ姐さん、興味のある方はぜひ聴いてみてください。他にもオススメ盤があるんで、「春の盤まつり」はまだまだ続きます。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。


春の盤まつり(1) サイケなラテンと春の宵

こんにちは。桜もぼちぼち開花し始めましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。今夜から明日にかけて天気が崩れるようですので、見頃は来週末あたりでしょうか?

さて昨秋ご好評いただいた「秋のレビュー祭り」の続編的なレビューをお届けします。今回は「春の盤まつり」と題し、どっかで聞いたような感じにしてみました(笑)。中身はいつも通り、僕が気に入ったレコード/CDを気の向くままにオススメするものです。新譜が中心になるかと思いますが、ひとつヨロシクお願いします。

ここ最近(ずっと?)歌謡曲色の濃いイベントばかり開催しているせいか、B級歌謡やムードコーラスものばかり聴いてるイメージがすっかり定着してしまったかもしれませんが(苦笑)、世界中の現在進行形の音も一応いろいろ聴いてるんです(誰に対しての言い訳?)。前置きが長くなりましたが、「春の盤まつり」第一回目は、サイケなラテン&ブラジル・レコをご紹介します。よろしくどうぞ。



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■LA MECANICA POPULAR/Same (LP) →音源試聴はこちら

久々に興味を引く新バンドの登場。ペルー、ベネズエラ、コロンビア、米国のミュージシャンがNYで出会い、2011年に結成された男女混成バンド。謎度高いジャケに惹かれ購入したけど、想像以上に聴かせる内容だった。2013年5月にリリースされた1stシングル(匂い立つ雰囲気のPVはこちら)に続き、11月にリリースされたのがこのデビュー・アルバム(ともにブルックリンの個性派レーベル、Names You Can Trustから)。

彼ら自身「サイケデリック・サルサ」を標榜する通り、電子音飛び交うスペイシー・サルサが軸になっており、ダビーな音像と相まってホントにカッコイイ。個人的には「アシッド・サルサ」と呼びたくなるような、サイケでモンドなラテン。スローテンポの曲が不思議とじんわり染みたりして、ストレンジ・ワールドにゆらり漂うこの浮遊感、かなりクセになる。

正統派ラテンやサルサ好きよりも、たぶんベック(ジャケの雰囲気にも通じるものが)、ラテン・プレイボーイズ、マーク・リボー好きの方に受けそうな感じ。とは言え、ラテンに興味のある多くの人にぜひ聴いてもらいたい良盤。CDは出てない模様につきLPで購入したけど、こういう妖しさ満点のジャケは、やっぱデカいサイズが似合うよな。



Garotassuecas
■GAROTAS SUECAS/Feras Miticas (LP) →音源試聴はこちら(全曲フル!)

お次はブラジル、サンパウロのソフト・サイケ・ロック・バンド(これが2ndアルバム)。カラフルなジャケに惹かれ試聴したところ、メロウでポップな良質ブラジリアン・サイケだった。前述LA MECANICA POPULARのアルバム同様、こちらも本国リリースは去年だけど、今年に入ってスペインのVampisoulからリリースされた。僕が購入したのもVampisoul盤で、個人的には今年の大きな発見!ということで、早速、今年のベストアルバム候補に。

全体を通して、メロディアスで音楽性豊かなところが彼らの大きな魅力。男性・女性ヴォーカル混成で、サイケデリック・トロピカリズモ感溢れるところはムタンチス(ブラジルの大先輩)を想起させ、デヴェンドラ・バンハートのようなアシッド・フォークがあるかと思えば、ソウルやレゲエ・フレイバーもある。中期ビートルズやソフト・ロックの雰囲気を持つ曲や、小粋なヴァイオリンの響きでアコースティック・スウィング好きにもアピールできる曲があったり、チボ・マットに似た感じの曲(こちらのPV参照)もあったりと、とにかく多彩。

それだけ色々盛り込んでいるにもかかわらず、肩の力の抜け具合というか、ゆるさ加減がまた絶妙。ピヨピヨ入る鳥の声も雰囲気あるラスト曲は、そのアコースティックで素朴な味わいにグッときた。これはOS NOVOS BAIANOSへのオマージュぽくも聞こえ、そっか、そこを目指してるのか!と思わず膝を打った。

古地図&想像上の生き物がカラフルな極彩色で書いてあるいいジャケで、デカいサイズで欲しかったため、こちらもLPで購入(ちなみに45回転・12インチの2枚組!)。やっぱアナログで持っておきたいアートワークだと思う。

家にアナログプレーヤーないから。。という方もご心配なく。何と、下記公式サイトで、全曲フリーダウンロードOK!太っ腹!これでアナログ盤買ってもOKでしょ。ただ、いつまでDL可能か不明につき、興味のある方はお早めに。こういうポップ風味のサイケ・ロックは、今の季節にとても合う。激オススメ!
http://www.garotassuecas.com/



ということで、ちょっと長めになってしまいましたが、初回はこれにて。他にもオススメ盤たくさんあるんで、「春の盤まつり」まだまだ続きます。引き続きよろしくお願いします。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。


秋のレビュー祭り(5) ニューオリンズ・ファンク #2 & more

こんにちは。もうすっかり冬突入という寒さですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

9月からお届けしていた「秋のレビュー祭り」ですが、もう既に秋は過ぎ、冬になってしまいましたので(苦笑)、これで最終回とさせていただきます。諸事情で思ったほど更新できず、すみません。

今回は前回の予告通り、引き続きオススメのニューオリンズものを。あと最後に、祭事用にピックアップしながらレビューできなかったCD&LPを載せておきます(ジャケ写中心ですが)。ということで、よろしくどうぞ。



Dumpstaphunk
■DUMPSTAPHUNK/Dirty Word

ニューオリンズ・ファンクと言えば当然ネヴィル・ブラザーズ人脈を外しては語れない。今回ご紹介するのも彼らの血を脈々と受け継いでいるバンド、DUMPSTAPHUNK。アーロン・ネヴィルの息子アイヴァンを中心に、アート・ネヴィルの息子で元ファンキー・ミーターズのギタリストだったイアン、そしてネヴィル・ブラザーズ・バンドの新旧ベーシスト、ニック・ダニエルズとトニー・ホールを擁する、まさに血統書付きバンド。これが彼らの3rdアルバムで、重量級ファンクがとにかくカッコイイ!

そして並み居る強者たちとがっぷり四つに組むタイトでパワフルなドラムを叩くのが、ビヨンセのバックを務めたこともある紅一点のニッキー・グラスピー Nikki Glaspie(公式サイトでぜひチェックを)。彼女の迫力ある叩きっぷりがホント最高!すぐさまファンになりました。

ゲスト陣も強力。ニューオリンズ人脈では、前回取り上げたトロンボーン・ショーティに、前述アート・ネヴィル、そしてリバース・ブラス・バンドが参加。ロック/ファンク系では、タイトル曲にアーニー・ディフランコが(YouTubeリンクはこちら・カッコ良すぎ)、こちらの曲ではフリー(レッチリ)が参加。

トロンボーン・ショーティがミドル級なら、彼らはヘヴィ級。前者がレッチリなら、後者はP-FUNKといったところ。これからもファンクの王道をグイグイ突き進んでほしいッス。ちなみにグラハム・セントラル・ステイション"Water"のカバーもあり(こちら。ライヴ版はこちら)。正統派ですな。

一時はこればっかり聴いて、すっかり今秋の愛聴盤に(これなんか、どファンクでシビレる〜)。ガツンと聴き応えあるブリブリのファンクが聴きたい方に、激オススメ。ぜひお試しあれ。



あと以下、レビューできなかったCD&LPを。内容的にいいものばかりですので、気になるのがあれば、ぜひ聴いてみてください。

どれもオススメですが、吾妻さん、ジャネル・モネイ、ジェイムス・ハンターは特に愛聴し、年間ベストテンにランクインする可能性大です。

まずはCDから。

Autreview
(左上から時計回りに)
・RY COODER & CORRIDOS FAMOSOS/Live In San Francisco
・ELVIS COSTELLO & THE ROOTS/Wise Up Ghost
・吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ/シニア・バカナルズ
・JANELLE MONAE/The Electric Lady
・STROMAE/Racine Carree



次にLP盤を(両方ともCDとジャケが違う模様)。ともにダウンロード・コード付きですので、もしアナログ・プレイヤーがなくても大丈夫です。

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・JAMES HUNTER SIX/Minute By Minute (LP)
・LORD MOUSE & THE KALYPSO KATZ/Go Calypsonian (LP)



ということで、オススメ新譜のレビュー&ジャケ写をお送りしました。恒例の年間ベストアルバムもぼちぼち選び始めてますんで、お楽しみに。それまでに一回くらい何かアップできればと思います。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。


[DJ EVENT] 年忘れDJパーティー@渋谷・国境の南

こんにちは。ちょっとご無沙汰してますが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか?「秋のレビュー祭り」の更新が滞ってましてすみません。。僕自身いろいろと動きがあり、このところ慌ただしい日々を送っておりました。こちらはすぐに再開しますので、もうしばらくお待ちいただければ幸いです。



さてその前にお知らせを。今度の土曜日、上京してDJイベントやります(前回イベントはGW開催でしたので、7ヶ月ぶり)。場所はお馴染み渋谷・国境の南にて。最近は和モノ/歌謡曲のイベントが多かったんですが、今回は久々にオールジャンルの選曲です。ちょっと早めの忘年パーティーということで、国境関係のDJ勢揃いでお届けします。会話やお酒がすすむ楽しくナイスな曲がたくさんかかること間違いなし。僕自身、他のDJの選曲が非常に楽しみです。

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日時:11月30日(土)19:00〜24:00頃(延長あり)
場所:国境の南(tel.03-3463-5381)→ http://www.kokkyo.net/
料金:ミュージックチャージなし。飲食代のみ
DJs:Akira、S★ken、Teracchi、Matsuno、Shinobu Nakamaru、IZU、Ryutaro Seki、僕
配信:USTREAMにて → http://www.ustream.tv/channel/kokkyo
おまけ:特製CD-Rプレゼント(あくまで予定。数量限定。当日お尋ね下さい)

いつものように、あまりイベントイベントせず、忘年会兼ねてみんなでわいわい飲もう!という感じでやれればと。日頃会ってない人たちと会ういい機会になればとも思います。ご都合つく方、ちょっと一杯飲みに来てもらえると嬉しいです。あと、あくまで予定ですが、特製CD-Rもプレゼントできるかもしれません(なかった場合はご容赦ください)。

僕は和モノ/歌謡曲を軸にして(やっぱり外せません!面白いのたくさんかけます〜)、南国音楽、ほっこりジャズ、Xmasソングなどもかける予定です。また、踊れるジャニーズ、シティポップテイストのラグジュアリー歌謡、演歌グルーヴ、渋谷系アジアン、ニューオリンズ・ファンクなど、踊れる曲・踊れない曲・名曲・迷曲とり混ぜ、時間の許す限り色々かけたいと思ってます(もちろん飛び道具もあり)。楽しい曲、懐かしい曲、きっとここでしか聴けない曲もかかりますんで、ぜひお越しください。なおUSTで中継もやりますので(上記参照)、会場に来れない方はこちらでお楽しみいただければ幸いです。

お店の場所は渋谷・東急本店前のビル3Fです。地図など詳細はこちら(↓)をご覧ください。
http://www.kokkyo.net/
当日何かあれば携帯に、もし携帯がつながりにくい場合はお店の方(03-3463-5381)に連絡ください。よろしくお願いします。

年末が近づき、何かとお忙しいとは思いますが、ぜひお友達・ご家族などお誘い合わせの上、お越しください。心地よい音楽と美味しい料理&お酒を肴に、久々に色々話しましょう、楽しみましょう!もちろんお一人でもお気軽に、ふらりと立ち寄りいただければ嬉しいです。

ぜひ今度の土曜、国境でお目にかかりましょう。皆さま、お待ちしております。以上、お知らせまで。


秋のレビュー祭り(4) ニューオリンズ・ファンク #1

こんにちは。皆さまいかがお過ごしでしょうか。台風が過ぎた関西地方ですが、今のところ曇天模様です。これから台風が近づく地域の方はくれぐれもお気をつけください。

さて秋のレビュー祭り、ちょっと間が空いてしまってスミマセン。このところ何かと慌ただしく、なかなか更新できずでした(今後はちょっとペース上げて行けると思います)。

そんななか最近は70年代〜80年代前半のソウル/ファンク/ディスコばかり聴いてました。何年かに一回、自分の中で大きな波が来るんですが、今回もそんな感じで。ということで、そういう波に乗っかった新譜レビューをお届けします。よろしくどうぞ。



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■TROMBONE SHORTY/Say That To Say This →公式サイトで試聴可(こちら

ニューオリンズの若手トロンボーン奏者(&トランペット、ドラム、ヴォーカル他)、トロンボーン・ショーティことトロイ・アンドリュース、待望のメジャー3rdアルバム。今作も期待に違わぬ出来で、デビュー時から一貫しているロック感覚を伴ったハードエッジな演奏がタマリません(ちなみに1stは2010年上半期ベストアルバムに選出済み)。新世代のファンキーさとヒップホップを通過した音像がとにかくカッコイイ。今回自身との共同プロデューサーに迎えたのは、ディアンジェロ、メアリー・J.ブライジ、ジョン・レジェンドetc.で有名なラファエル・サーディク。

ファンキーな曲は相変わらずパワフルだが、本作はメロウ、ミディアムR&Bもグー。ほんのりファンク風味のアーバン・メロウなんか最高すぎて思わずニヤけてしまう。晴れた朝に聴きたいほんわか日だまりインスト(その名も"Sunrise")も素晴らしいし。これは何曲かで共作&客演もしているラファエルの効果が大きいと思われる。押しの強さだけじゃなく、以前より引きも覚えて、音楽的に随分幅が拡がったような印象を受ける。

ゲスト陣では何と言っても、"Be My Lady"(M-5)に参加したオリジナル・ミーターズ!アート・ネヴィル、レオ・ノセンテリ、ジョージ・ポーター・ジュニア、ジョセフ”ジガブー”モデリステの4人が集結。彼らの名前を見ただけで興奮してしまうのは決して僕だけじゃないはず。現在は再結成しライヴ活動を行っている彼らだが、これが'77年の解散以降バンドとして初めての録音というから、ニューオリンズ・ファンク・ファンにとってはとても意義深い('77年発表のラスト・アルバムに収録されているのがオリジナルヴァージョン→YouTubeリンク)。この曲では、後からミーターズに加わったシリル・ネヴィルもヴォーカルで参加。思わず口ずさんでしまういいメロディを持つミディアム・ナンバー。

その他、"Fire And Brimstone"(M-7)はネヴィル・ブラザーズがカバーした"Fly Like An Eagle"(オリジナルはもちろんスティーヴ・ミラー・バンド)ぽい曲だったり、"You And I (Outta This Place)"(M-2)はレッチリのカバー?と一瞬思ってしまうようなファンク・ロックだったりと(間奏のトロンボーンがまた最高)、ロック好きにも十分アピールできる。

活きのいいニューオリンズ・ジャズ・ファンクにして、ヒップホップを通過したロックン・ソウル快作といえる本盤は、ニューオリンズ・ファンク愛好家、ギャラクティック好きはもちろん、レッチリやレニクラ聴いてフェスで盛り上がるロック・ファンにも絶対オススメ(フジロックにも参戦してたし)。収録時間が30分台というのもちょうどいい長さで、何度もリピートしたくなる。9月半ばに購入して以降、すっかりこの秋の愛聴盤になってます。僕は彼のライヴ未体験につき、このアルバム引っさげてぜひとも来日してほしい。生で聴きたい&音を浴びたい!



ということで、久々のレビューでした。次回もニューオリンズを予定してますので、お楽しみに。何とか早めに更新したいと思います。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。


秋のレビュー祭り(3) ブラジル発ファンキー・ブラバン

こんにちは。関西は10月にして真夏日となってますが(一体どうなってるんでしょうか?)、皆さまいかがお過ごしでしょうか。最近僕はすっかり「読書の秋」です。本屋に足を運んで色々物色するのが楽しくて仕方ありません。今までスルーすることの多かった理工系・建築関連にも面白い本を発見し、世界が拡がっていく感じですね。その分レコ屋に行く時間があまり取れてないんですが…。

さて引き続きワールドミュージック・レビューを。本盤も夏休みにエル・スールにてH店主にオススメされたCD。ズバリ好みの音で、すっかり愛聴盤になってます。ということで、よろしくどうぞ。



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■ORQUESTRA VOADORA/Ferro Velho →オフィシャルサイト(こちら)で全曲試聴可

ブラジルの大所帯ブラスバンドのデビュー作(バンド名は「空飛ぶ楽団」という意味みたい)。これがもう、爆音で聴きたい快作!リオのカーニバルに出てたブラバン+パーカッション集団が母体になってる様子(クレジット記載の主要メンバーは15人)。肝になるのは全体をグイッと引っ張る低音担当のチューバ。これに太鼓隊が絡んで生き生きしたグルーヴを導き出している。とにかく管バス(=チューバ)ならではの弾むビート感が素晴らしい。

加えて、選曲の何でもあり感がタマリません(アルバム未収録ながら、何と日本のスペクトルマンまでやってます。アメコミ調の映像も最高!←YouTubeリンク参照のこと)。本アルバム全11曲の内訳はカバー7曲:オリジナル4曲。音楽的支柱と思われるチューバのTIM MALIKが主として書いているオリジナル曲もいい感じだけど、とりわけカバーに興味深い曲が多い。以下、カバー曲を列挙してみると。

(非ブラジル系・4曲)マヌ・ディバンゴ"African Battle"、フェラ・クティ"Expensive Shit"、スティーヴィー・ワンダー"Superstition(迷信)"、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン"Know Your Enemy"。
カメルーン、ナイジェリア、アメリカの有名どころが並ぶ。個人的には特にフェラ・クティとスティーヴィーのが盛り上がるが、レイジは意外なセレクトで少しメタリックな感触もあり唸った。ロックギターのリフは結構ブラバンに合うと思うんで、ぜひ色々トライしてもらいたい。

(ブラジル系・3曲)ロベルト・カルロス"Todos Estao Surdos"(カエターノとも縁深いブラジル歌謡界の帝王。間奏でジョルジ・ベン"Ponta De Lanca Africano(Umbabarauma)"のフレーズも挟み込まれる)、セコス&モリャードス"Amor"(鬼才ネイ・マトグロッソ率いるブラジリアン・サイケ〜グラム・ロック・バンドの1st収録曲。オリジナル盤は激レア)。ムタンチス"Top Top"(ブラジル好きにはお馴染みムタンチス4thより。ムタンチス/リミーニャ作のポップ曲)。こちらは結構渋好みの選曲だけど、ホントどれもいい。興味を持った方はぜひオリジナルもあわせて聴いてほしい。



ただ音や言葉よりも、映像の方が彼らの魅力がダイレクトに伝わると思うんで、ぜひ以下の動画リンクを見てください!ホントに楽しいッスよ〜。

これを見るといちばん魅力が伝わるかも。パリの街を練り歩き(監督:ヴィンセント・ムーン)。音もいい!
これは盛り上がる!上述フェラのカバー。それにしてもこの人の多さ!
これも最高!上述スティーヴィー「迷信」のカバー。
これもカッコイイ。上述レイジのカバー。
これはアルバム未収録。WARの"Low Rider"。いいッスねー。



ブラスバンドと言えば、まずこのORQUESTRA VOADORAに直結する雰囲気を持つDIRTY DOZEN BRASS BANDなど、ニューオリンズ産のファンキーな楽団を思い出す。と同時に、'91年に発売された19〜21ユニバーサル・バンド「ブラスは世界を結ぶ」というブラスバンドのアルバムのことも。後者は20年以上経った今聴いてもふくよかで温かい、まろみのある音が素晴らしい傑作である。

このアルバムは19世紀後半まだジャズが生まれる前、世界中に散らばっていたブラスバンドの音(世界音楽)を現代の感覚で蘇らせた素晴らしい試みだった。故・中村とうよう氏、田中勝則氏、エンリッキ・カゼス氏らによる日本とブラジルの合同プロジェクトで、日本からはコンポステラが演奏に参加していた。今回紹介したORQUESTRA VOADORAがブラジル出身なのはもちろん偶然だが、その巡り合わせにちょっと驚いた。

20世紀に各地で花開いたポピュラー音楽の原型のひとつである19世紀型のブラスバンドが、1世紀飛び越えて世界で流行し、閉塞した21世紀の音楽シーンを活性化させたら面白いかも。もしかしたら、大友良英&「あまちゃん」スペシャルビッグバンドがその端緒かも?などと夢想したり。難しいことは抜きにして&話は戻って、このORQUESTRA VOADORA、ブラバン好き、ビッグバンド好きはもちろん、ニューオリンズ・ファンクやアフロビート好きにもオススメ!今いちばんライヴを見たい、というか、ぜひ楽団の後を一緒に練り歩きたい人たち!



思わず長文になりましたが、ホント、世界は広し。色んな面白い人たちがいます!まだまだ探求の旅は続きますが、次回また早めにお目にかかりましょう。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。

秋のレビュー祭り(1) 晩夏〜初秋に聴くメロウ・ラテン

こんにちは。秋晴れの3連休初日、皆さまいかがお過ごしでしょうか。昨日が彼岸の入りで、朝晩だいぶ涼しくなってきましたね。もうすぐ本格的な秋到来となるんでしょうか。まだ季節の変わり目でもありますので、くれぐれもご自愛ください。

気付くと今年も残すところあと3ヶ月ちょっと。個人的に今年は例年に比べ、新譜&今年発売の再発盤をしっかり聴けてないような気がします。買ったけどちゃんと聴けてないのも結構あり、これはいかん!と一念発起。新譜レビューも全然書けてませんし(苦笑)、これからオススメ盤を順次紹介していきたいと思います。

なお「ヤマ○キ 春のパンまつり」ならぬ「秋のレビュー祭り」というタイトルは、じゃんじゃん書くぞという意気込みの表れです(自戒の念も込め)。祭りというからには、何とか週2本くらいは…と思ってます。しかし前回の光GENJI特集とのギャップに我ながら驚きますが、どっちも好きなので仕方ありませんね。前置きが長くなりましたが、久々に歌謡曲以外のレビュー、よろしくどうぞ。



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■JORGE SANTANA/Gracias Madrecita →オフィシャルサイトで全曲試聴可(こちら

カルロス・サンタナの弟であり、マロのリーダー、そして日本ではフリーソウル絡みでも人気のホルヘ・サンタナ。これが2011年最新作(日本盤発売は2012年)。全世界1000枚限定プレスというこのCD(収録時間は28分強とミニアルバムの趣き)、リリースされてたのを最近知って購入したが、想像以上に良かった。

ラテン・ロック〜チカーノ〜フュージョン〜AORのナイスブレンドで、夏の終わりに聴くとホントにいい感じに響く。少し落ち着いて音を楽しみたいこれからの季節にもピッタリかと。冒頭1曲目〜3曲目までのオリジナル曲(クオリティ高し)を聴くと、特にそういう雰囲気を感じたり。

有名曲のカバーも収録。スティーヴィー・ワンダー"My Cherie Amour"はメロウなボサノヴァ・アレンジに、カルロス兄の"Europa(哀愁のヨーロッパ)"はフレンチ・ミュゼット+レゲエといった興味深いアレンジに、という具合。残念ながら"Georgy Porgy"はTOTOのカバーではなく同名異曲だったけど、これもいい。

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■JORGE SANTANA/Same

そしてラストにボーナストラックとして収録された"Love The Way"(上掲ジャケ・'78年発売1stソロ作の人気曲)の未発表シングル・ヴァージョンがとてもいい。火照った体をクールダウンさせながら夏の終わりに聴きたい極上メロウ・ラテン。

このCDは夏休みに上京した際、数年ぶりに伺ったハイファイ・レコード・ストアにて、Mさんにオススメされ購入したもの(その時は併せて7インチを数枚購入)。そんな夏の想い出もあり、個人的には印象深い一枚。



ということで、急遽開催した「秋のレビュー祭り」第一弾、いかがでしたか?他にもオススメ盤がたくさんありますので、次回も何とか早めに更新したいと思います。お楽しみに。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。

【ナツカヨ特別編】光GENJI〜最後のスーパーアイドル

こんにちは。それにしても毎日本当に暑いですね。この酷い暑さが毎年レベルアップしていかないことを願うばかりです。皆さま、くれぐれもご自愛ください。お盆休み中(Uターン中?)の方も多いでしょうから、夏バテしないよう、ゆったりとお過ごしください。



そんな夏を乗り切る歌「ナツカヨ」(本家ナカレコさんお墨付き)の第二弾。女性だけピックアップした前回の予告通り、今回は男性特集、しかも「おそらく音楽的切り口では誰も取り上げないだろうと思われる」アイドル・グループ、光GENJIの特集です!

昭和から平成へと移行する時代の変わり目、爆発的人気を博した彼ら。短期間で異常に盛り上がった人気は歌番組の終焉とも相まって、一気に下降線を辿ってしまった印象があります(あくまで個人的感想ですが)。その後は残念ながら元メンバーの不祥事等あり、一般的にはあまりいいイメージがないかもしれません。ただ社会現象という意味では、おそらく彼ら以降、彼らを超える男性アイドルは出て来てないと言っても過言ではないでしょう。

しばらく前までは僕もご多分に漏れず、初期のシングル曲(特に「パラダイス銀河」)でローラースケート履いてクルクル回ってるイメージが強すぎ、アルバムまではなかなか手を出せずにいました。が、思い立って中古CDを購入し聴いてみたところ、想像以上にいい曲が多くてビックリした次第。季節的に夏向きの曲が多く(やっぱアイドルは夏と冬ですね)、いいナツカヨが集まりましたので、まとめてご紹介します。

なお男性アイドルとしてのカッコ良さ(加えてメンバー個々人に対する思い入れ)という視点/視線は残念ながら少なめですので、熱狂的ファンの方々はその点ご了承頂ければと。あくまでCD/レコードを通して音楽的観点から魅力を掘り下げるという紹介の仕方になることを踏まえて、お楽しみ頂ければと思います。前置きが長くなりましたが、アルバム曲を中心にドドンと10曲お届けします(各アルバム2曲ずつ。基本的にソロ曲を除きグループ歌唱曲をセレクト)。では、よろしくどうぞ。

(補足)今も夏の甲子園ブラバン(こちらでもあまちゃんが話題)で、「パラダイス銀河」が演奏されてるのを聞くとちょっと感慨深いですね。



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■光GENJI/Hi! ('88/7/28発売・2nd)

☆ サマー スクール →YouTubeリンクはこちら(22:50あたりから)

特大ヒット曲「パラダイス銀河」(作詞・作曲:飛鳥涼、編曲:佐藤準。最近ASKAが話題になってますが、この曲はポップスとして完璧。レコード大賞受賞も納得)を収録した2ndアルバムより。ジャケからも想像できるように南国をイメージした曲多し。この曲は思春期男子の想いが詰まった青春サマーポップ。作詞:原真弓、作曲:濱田金吾、編曲:佐藤準、コーラスアレンジ:JIN。キラキラした夏を描き出した佳曲で、濱田金吾の起用に思わず唸った。

☆ 君を乗せた海賊船 →YouTubeリンクはこちら

アルバムからもういっちょ。ファンキー度増量のカッコイイ曲。サウンド的にはプリンスやジャネット・ジャクソンを彷彿とさせるデジタル・ファンク。歌詞とビートが相まって、結構クセになるジャム&ルイス歌謡(特にサビは気付いたら口ずさんでること多し)。時代が違ったら「ONE PIECE」のテーマ曲になってたかも。作詞:高柳恋、作曲:米倉良夫、編曲:佐藤準。



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■光GENJI/Cool Summer ('90/7/25発売・6th)

まずアルバムについて。とにかくジャケがスゴイ。透け透けシャツっすよ。ブックレットの他の写真も露出度高いっす。女子人気があるのは分かるけど、こりゃゲイの人たちにも根強い人気ありそうだわ(短パンも多いし)。あとこのアルバム、バハマの首都ナッソーにあるコンパス・ポイント・スタジオ(アイランドのクリス・ブラックウェルが創設したスタジオ)で録音されてるとは!日本国内のスタジオも併記されてるから、どのパートを録ったのかは分からないけど、ちょっとビックリ。さすが、金あるよね〜。

☆ 風はオレンジ →YouTubeリンクはこちら

ズバリ、ジャニーズ史上に残るナツカヨ名曲。夕暮れ時の心地よい風を感じるミディアム・メロウ。作詞:澤地隆、作曲:松尾清憲、編曲:椎名和夫。松尾清憲のナイスメロディを山下達郎バンドつながりの青山純(dr)、伊藤広規(b)、松田真人(key)らがバックで盛り立てる(ギタリストでもあるアレンジャー椎名和夫つながりだろう)。さらに斉藤ノブ(perc)、ジェイク H. コンセプション(sax ←これがまた染みるんだ)が加わり、まさに鉄壁。サマー・ブリーズがフワリと頬を撫でていくこの感じ、シティ・ポップ好きに自信を持ってオススメしたい。

☆ あてもなくオルフェ →YouTubeリンクはこちら

トシちゃんや少年隊がやってそうな情熱ラテン歌謡。サルサのリズムが腰にくる。歌うは年長組「光」の大沢樹生。作詞:平井森太郎、作曲:網倉一也、編曲:和泉一弥。郷ひろみ、田原俊彦を手掛けた網倉一也が作曲ということで、まさにジャニーズ王道ど真ん中。バックは松原正樹(g)、松武秀樹(synthe)、浜口茂外也(perc)、ジェイク H. コンセプション(sax)、木戸やすひろ(cho)など、シティポップ/フュージョン界隈の強力メンツ。溶けるようなビートに乗せて、妖しくゆらめく真夏の夜の夢。クラブでガツンとかけたいジャニ曲筆頭!

曲ごとに作家陣を入れ替え、贅を尽くしただけあって、本アルバムは非常に良い出来。他にもいい曲あるため、見つけてぜひ聴いてもらいたい好盤。



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■光GENJI/VICTORY ('91/10/2発売・10th)

☆ CANDY GANG →YouTubeリンクはこちら

ナツカヨの「真夏の夜のジャズ」枠選出。ポップでスウィンギーなジャニジャズの系譜。作詞・作曲:西岡千恵子、編曲:佐藤準。大恐慌前・20年代ジャズエイジの雰囲気あるのはアレンジの妙。バックを固めるのは今剛(g)、佐藤準(key)ら腕達者たち。キャンディ・ジャズという言葉を思い出したけど、甘さと元気さと背伸び感、そしてゴージャス感までもミックスされた逸品。ジャニーズはこういうショービズ・テイスト得意だよね!ホント感心、アンド安心して聴けるジャニジャズ会心作。

☆ 課外授業 →YouTubeリンクはこちら

溌剌とした夏向きポップ。作詞:高柳恋、作曲:割田康彦、編曲:佐藤準。レゲエで始まるイントロは、ちょっとコートニー・パインみたいな雰囲気。このまま行くかと思ったら、歌が始まる頃にはいつの間にかモータウン調に。その違和感のなさ、アレンジ力に感服。ちなみにバックは上記「CANDY GANG」と同じメンツ。



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■光GENJI/HEART'N HEARTS ('94/3/2発売・17th)

変則的な2枚組アルバム。Disc1(HEART)にはソロ曲7曲を、Disc2(HEARTS)には「TAKE OFF」(16枚目のシングル)から「この秋‥ひとりじゃない」(23枚目のシングル)までのシングル8曲を発売順に収録+最後に新曲3曲を収録。

☆ リラの咲く頃バルセロナへ →YouTubeリンクはこちら

このアルバムからはサクッとシングル2曲を。まずは17枚目のシングル('92/4/29発売)。同年夏に開催されたバルセロナオリンピックの応援ソングとして、日本オリンピック委員会(JOC)に起用された。グループ自体も「オリンピック広報アドバイザー」の肩書きを与えられたらしい。最近オリンピックの話題が多いこともあり選出。当時さんざんTVで流れてたんだろう。♪君は夏のマタドール、というフレーズ、ちゃんと覚えてたよ。思い入れはないけど懐かしいなぁ。口ずさみやすいメロディが好感度高い曲。作詞:康珍化、作曲:後藤次利、編曲:後藤次利/新川博、コーラスアレンジ:曳田修。

☆ BOYS in August →YouTubeリンクはこちら

次は22枚目のシングル('93/8/4発売)。ちょっと派手めロックテイストあるこの曲は、今のJ-POPに直結するようなナンバー。タイトル通りスコーンと突き抜けた明るさは、今では貴重な感じも。作詞:松井五郎、作曲:後藤次利、編曲:米光亮。



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■光GENJI/FOREVER YOURS ('94/7/21発売・18th)

☆ BABY PLEASE →YouTubeリンクはこちら

さて最後のアルバム。これが実質的に7人最後のアルバムとなった。かなりSMAP的なテイストを持つアーバン・ソウル歌謡。作詞・作曲:高橋一路(元ザ・シャムロック)、編曲:根岸貴幸、コーラスアレンジ:土橋雅樹。動画リンクを見る限りでは赤坂晃がソロで歌ってるようだけど、もうすっかり大人。しかも郷ひろみから松本潤(嵐)まで脈々と続く王子様の系譜!これは男が見てもカッコイイね。サウンド的には、松下誠(g)、ジェイク H. コンセプション(sax)がいい仕事してる。大人のムード漂う夜曲。いい曲。

☆ 恋の温度 →YouTubeリンクはこちら

最後はジャニーズ・ナツカヨ屈指の名曲で締め。これが最後のGENJIナンバー(年長者を除いた5人「GENJI」歌唱曲)。詞・曲・アレンジなど完璧なサマーソング。個人的にはこの夏、この曲と出会えてホントに良かったと思えた夏アンセム。作詞:高柳恋、作曲:清水千穂、編曲:根岸貴幸、コーラスアレンジ:土橋雅樹。山下達郎「高気圧ガール」的なコーラスアレンジや、海岸ドライブ仕様の開放感ある夏向きアレンジが素晴らしい極上ラテンフュージョン歌謡。こういうのに出会えるからアイドル歌謡は侮れないッス。



どうでしょ?まさかの展開?売れてる人にはいい曲が集まる(作家・ミュージシャン等にお金をつぎ込めるため)、という最近特に実感してる法則を実証すべく、果敢にチャレンジしてみました。そして、やはりたくさんいい曲がありました。もし興味を持られた方は先入観抜きで聴いてみてください(中古で見かけたら安いCDばかりなので、ぜひ果敢に)。

そうは言っても、こんなにたくさん聴くのは大変。。特にオススメの曲は?という効率重視の方には、以下3曲をご提示させていただきます。どれも名曲!

・「風はオレンジ」(リンクはこちら) メロウ名曲
・「CANDY GANG」(リンクはこちら) ジャニジャズ会心作
・「恋の温度」(リンクはこちら) 最強ナツカヨ

ということで、この辺で。長文失礼しました。アイドル歌謡は奥が深いし、何よりも楽しいのがいいですね!

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。


僕の好きな「ラグジュアリー歌謡」

こんにちは。このところ暖かい日が続いてますね。この陽気で家の庭の紅梅も一気に満開になりました。「お水取りが終われば奈良に春が来る」と言われますが、今年は3/14の終了を待たずに春がやって来そうな勢いです。色々と大変なこともある毎日ですが、できるだけウキウキ気分でアクティブに過ごしたいものです。



Luxurykayo

さて、また久々の更新ですみません(月イチじゃなく、ホントは週イチくらいのペースにしたいんですが…)。

先月発売された「ラグジュアリー歌謡 (((80s)))パーラー気分で楽しむ邦楽音盤ガイド538」(監修:藤井陽一)が、今までにない切り口のディスクガイドだとTwitter等でかなり話題になってました。Amazonでも一時は品切れだったりと、売れ行き好調の模様です。パラパラ眺めるもよし、じっくり読んでもよしと、ビジュアルとレビュー(読み物)がしっかり両立してるのもポイント高し。洋楽にインスパイアされた80年代歌謡曲を軸に、見た目も音もポップで高品質な好盤がびっしりと紹介されています。

僕が直接関わった本ではないのですが、行きつけのナカレコ2号店さんスタッフ両名が執筆されており、制作段階からいろいろ話を聞いていたのでとても感慨深いものがあるのです。ということで、少し遅れましたが、刊行記念の勝手企画「僕の好きな『ラグジュアリー歌謡』」と題し、さらに盛り上げちゃいましょう!ちなみに本に掲載されている盤は外してセレクトしています(僕の愛聴盤もたくさん載っていて泣く泣く外しました…)。では、よろしくどうぞ。



Hiromic_hollywood  Soap_kissagain

Seri_martinet  Fsatomi_sambo

Toshi_tokyobeat  Yhiroko_hearts

(本に近づけたセパレートタイプのレイアウトにしていますが、読みづらかったらスミマセン)



■郷ひろみ/ハリウッド・スキャンダル → YouTubeリンクはこちら

ラグジュアリー歌謡と聞いてすぐイメージしたのがこれ。'78年9月21日にリリースされた郷ひろみ28枚目のシングル。ヒロミックにはシングルだけでも数多の名曲あるけど、たぶんこれがいちばん好き。作詩:阿木燿子、作曲・編曲:都倉俊一と、プロによる仕事は聴きどころ満載(特に歌詞、ホーンアレンジなどお気に入り)。それに全くひけを取らないヒロミックの存在感も素晴らしい。個人的には70年代ラグジュアリー歌謡の最高峰。とろけます。



■SOAP/Kiss Again → YouTubeリンクはこちら

お次はマンハッタン・トランスファー的(サーカス的?)なコーラスグループ。'81年に発売されたシングル「愛のTake Off」(日本航空イメージ・ソング)のB面。爽やかで流れるようなメロディ、コーラス、そしてスキャットが最高。ギター・カッティングなど歌謡曲というよりはシティポップ〜フュージョン寄りではあるけど。こういう大人の男女混声グループ、また出てきてほしいなぁ。作詩:山川啓介、作曲:有沢孝紀、編曲:萩田光雄。



■石川セリ/Martinet(マルチネ…雨燕) → YouTubeリンクはこちら

時代的に「ラグジュアリー歌謡」の核となっている80年代半ばへ。これは'84年6月1日発売のシングル「キ・サ・ラ恋人」のB面。ともに同年12月1日発売のアルバム「Femme Fatale ファム・ファタル」収録。クレプスキュール直系、ヨーロピアン・テイストのアコースティック・ボッサ。アンテナ好きにはど真ん中でしょう。作詞・作曲・編曲:かしぶち哲郎。バックを務めるのはムーンライダーズ。今聴いてもまったく古びないアレンジにゾクッとする。ずばり名曲。



■福永恵規/Blind Summer ~やさしい誤解~ → YouTubeリンクはこちら

おニャン子クラブの時代へ。会員番号11番の彼女、おニャン子初期メンバーながら地味な存在で、ソロデビューは他の人気メンバーたちの後塵を拝する形となった。当時僕は会員番号16番・高井麻巳子のファンだったこともあり、福永ソロ曲はまったくと言っていいほど記憶にない。去年ふとしたきっかけで彼女の中古CDを入手したところ、この曲がすっかりお気に入りになってしまった。おニャン子最終期にほど近い'87年7月5日にリリースされた2nd(そしてラスト)アルバム「SAMBO」収録(シングルリリースはなし)。作詞:麻生圭子、作曲:村田和人、編曲:西平彰。男女のデュエット曲で、男性パートは村田氏自身が歌っている。まどろむような夏の午後に聴きたいボッサ風メロウ。こういう曲があるからアイドル歌謡は侮れないな!と強く感じた想い出の曲。



■田原俊彦/宝の山 → YouTubeリンクはこちら

トシ=80年代最強のラグジュアリー男。それを実証するのがこの曲。'89年5月17日発売、16枚目のオリジナル・アルバム「TOKYO BEAT」に収録。ワシントンD.C.の黒人コミュニティで産まれたGo-Goを取り入れたダンスビート歌謡傑作。シンコペーション・ビートがカッコ良すぎる。作詞:松本一起、作曲:羽田一郎、編曲:キタロー&羽田一郎、コーラス・アレンジ:吉川智子。なおこちらのリンクでは同アルバム収録の「どーしようもない」「TOKYOビート」が続いてプレイされるが、ソウルフルで素晴らしい。この時期のトシは向かうところ敵なし。偏見を持たずに聴いてみるべし。アルバムレビュー(傑作多し)はまた追々。



■薬師丸ひろ子/Antique Clock → 動画リンクなし(残念…)

締めは90年代初頭、角川映画を離れてからの薬師丸さん。彼女の歌というと、どうしたって80年代の映画絡みシングル(名曲揃い!)を真っ先に浮かべてしまうが、それ以降も佳曲あり。これは'90年3月28日発売のアルバム「Heart's Delivery」に収録されたミディアム・ポップ。2年前に別れた男性のことを今でも想っている女心と喫茶店の隅にあるアンティーク時計とがうまく歌に織り込まれている。彼女の清涼感ある歌声が本当に素晴らしく、女優だけでなく歌手としても希有な存在であることを再認識。作詩・作曲:平松愛理、編曲:船山基紀。バックを固めるのは今剛(g)、松原秀樹(b)らの豪華布陣。



こんな感じで。ザッと選んでみて思ったのは、自分なりの「ラグジュアリー歌謡」(的なもの)を見つけるのはとても面白いということ(機会があれば続編もアップします)。もちろんごく普通の楽しみ方としてこの本を片手にレコ掘りするのもいいと思います(僕も掲載盤で欲しいのを探そうと思ってますし)。

ただ個人的により大きかったのは、この本によって、未知の盤への好奇心や挑戦心をかき立てられたことです。そういう意味でも、とても刺激に満ちた力作だと思います。歌謡曲好き/アイドル好きはもちろんマストですが、音盤に対する色んな捉え方を楽しめるため、多くの方にオススメしたいです。

以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。


迎春

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(庭の山茶花を初撮り)

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
皆さまにとって健やかな良い年でありますように。



今年は頭のなかにある色々なことを具体的な形にしていきたいと思ってます。
点と点をつなげていき、いずれ面にしていきたいなぁと。
とにかく面白いこと(とその準備を)やります。どうぞよろしくお願いします!

※2012年ベストアルバム、コメント入り版は正月三が日にアップします(たぶん)。お楽しみに。