Stop Look Listen(2025年6月号)
June 30, 2025
月刊誌的「Stop Look Listen」の第6回。何かと慌ただしい日々、気づけば今年ももう半分終わろうとしています。あっという間に過ぎ去る日々の何気ないことを書き留めようと思い立ち、「今月の日記」はじめました。よろしくどうぞ。
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<目次>
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①今月の音楽
エルスール閉店という衝撃的なニュースが流れたのは5月のこと。ワールドミュージック愛好家/関係者の間でかなりざわついたのですが、渋谷の現店舗を6/21に閉店し、移転先を探しているとのことでした。その後、江戸川橋地蔵通り商店街への移転が無事決まったとのことで(こちら)、ひとまず安心しました。秋口あたりに再開とのこと、機会を見てぜひ伺いたいと思っています。
閉店セール(30%オフ)ではラテンの中古アナログ盤を中心に色々購入しました。セール対象外の新着CDも購入しましたが、こちらを愛聴しています。やっぱり僕はラテン音楽が好きだなーと再認識しました。
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Juana Luna, Eleni / La Paloma
Juana Luna / Olmedo
アルゼンチン出身で現在はNYに拠点をおくSSW、Juana Lunaのアルバム"Canciones en Blanco y Negro"(白と黒の歌)がとてもいい。温かく柔らかで上品な佇まいのフォーキー/トラッド。感傷的で哀愁漂う曲や優しく包み込む子守歌のような曲が多くを占めるが、シンセやサンプリングを使用した現代的音像の曲も含まれている。さらり耳馴染みのよいアルバムだけど、そんな引っ掛かりもあって、深みを感じさせるアルバムに仕上がっている。
特にバンドネオンやアコーディオン、アコースティック&エレクトリックギターの響きが印象的。また耳に残るストリングスはニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団によるもの(4曲参加)で、アルバムに豊かな彩りを添えている。お馴染みの名曲"La Paloma"もグッとくるアレンジ(「シビレました…」とはエルスール原田店主の言)。リリースは2024年9月だけど、個人的には今年を代表する一枚になりそう。
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以下、エルスール購入品以外のオススメも。
Durand Jones & The Indications / Flower Moon
6月にアルバム"Flowers"をリリースしたばかりの大好きなグループ。前作"Private Space"(2021年)から4年経ってるけど、その間にDurand JonesやAaron Frazerのソロアルバムがリリースされていたため、あまりブランクを感じさせない。相変わらず素晴らしいヴィンテージソウル。全体的にMarvin Gayeを彷彿とさせる。Aaron Frazerのファルセットがまたいい。今までのアルバムでいちばん好みかも。
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Drugdealer ft. Weyes Blood / Real Thing
DrugdealerことMichael Collinsと、Weyes BloodことNatalie Meringのコラボレーション。2人は過去に"Suddenly""The End Of Comedy""Honey"でコラボしており、勝手知ったる間柄。70年代の雰囲気あふれる歌と曲は、これって誰かのカヴァーだっけ?と思わずクレジットを確認してしまうほど。もはや名人芸と言っても過言ではない。
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▼今月のSpotifyプレイリスト(紹介した曲以外にも、お気に入りを追加しています。雑多なラジオ感覚プレイリストです)
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②今月の読みかけ
気づくと、部屋には読みかけの本ばかり。積読と読了のあいだ。読書・現在進行形。
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(今回は読みかけでななく、現在おかわり中の本)
何はともあれ、武田百合子(「富士日記」「犬が星見た」など)が好きだ。自由奔放さと冷徹な観察眼をあわせ持つ稀代の文筆家。どうやったらこんな風に書けるんだろうと、読むたびその天才ぶりに驚嘆するばかり。
先日、美術館帰りに立ち寄った丸善・京都本店で、「富士日記」という文字が目に留まった。「おかわりは急に嫌:私と『富士日記』」がそれで、「著者サイン本」と印刷された紙が本と巻かれたビニールの間に挟んである。サイン本はどうやらこれが最後の1冊みたいだ。ビニールで巻いてあるため中身を確かめることができなかったが、僕自身「富士日記」好きであり、また以前から気になってた古賀及子さんの本ということで、これも何かの縁と購入した。
内容は「『富士日記』のきらめく一節をあじわいながら、そこから枝分かれするように生まれてくる著者自身の日記的時間をつづる」(出版社の内容紹介より)もので、とても楽しく、また感心しながら読み終えた。タイミングよく出版トークイベントが開催される(オンライン配信あり)という情報をゲットし、トークイベント(こちら)も楽しみながらオンラインで視聴した。古賀及子さんと古田徹也さんの掛け合いが絶妙だし、お互いの「富士日記」愛が伝わってきてとても良かった。日々の何でもないことを書き続けることや面白くないことの大事さ、そんな話にグッときた。
イベントに触発され、約2年ぶりに「富士日記」を再読し始めたばかり。前回読了した際は、途中ブランクを挟み数年がかりだった。休止してる間に文庫本の新版が出て、旧版にはない巻末エッセイが各巻に収録されていた。それが読みたくて、また全巻(上中下)新版で買い直したっけ(笑)。これからまた武田百合子や武田泰淳、その他たくさんの魅力的な人々に再会できるのが楽しみだ。
古賀及子「おかわりは急に嫌:私と『富士日記』」
武田百合子「富士日記(上)」
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③今月の日記
上述のトークイベントを機に、日々の何気ないことを書き留めるべく、久々に日記を書いてみます(昔はこのブログでも日記書いてました)。
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・6月某日
朝6時、今日は母親の通院付き添いのため、いつもより早く起きる。近所のかかりつけ医とは別に、3か月に1回、車で片道1時間かかる遠くの病院へ行く日。隣町に住んでいる妹が車を出してくれる。ありがたい。車中で中森明菜の話など。妹は数十年来の中森明菜ファンで、過去ディナーショーに何度も行ってるし、今もファンクラブに入ってる。先日東京ドームシティで開催された中森明菜の写真展へ、深夜バスに乗り弾丸で行ってきたとのこと。あとファンクラブ限定のライヴに落選したが、後日繰り上げ当選のメールが来たらしい。あいにくその弾丸旅行中にメールが来ており、バタバタでちゃんとチェックできず、振込期限後に気づき、痛恨の極みだったとのこと。次の機会に行けるよう、兄も微力ながら祈るよ。
母親の診察は無事終了。また3か月後に診察。薬局で薬をもらうのに1時間ほど待つ必要あり、その間に病院内のドトールで昼ご飯を食べることに。3人ともチーズインミラノサンド・Aセット。飲み物は限定アイスコーヒー・L(母親と僕)、塩キャラメルラテ・L(妹)。追加でバウムクーヘン(妹)ともっちりどら焼き(僕)。何だかんだ話して1時間半ほどドトールにいた。薬局へ戻り、薬を受け取り会計を済ませる。今日は特にどこにも寄らず、午後3時ごろ帰宅。
晩ご飯。ご飯、みそ汁、蒸し鶏、かぼちゃ煮物、きゅうり浅漬け、
・6月某日
TVのニュース。白浜アドベンチャーワールドからパンダ4頭、全頭中国に返還される。一般公開最終日ということで、開園前から1,400人もの列。東京など遠方からも多くの人が来て、最後のお別れを涙ながらに惜しんでいる。みんな黒い服を着ているが、これには理由があり、ガラス越しにパンダを撮影する際、カメラに自分が写り込まないようにするため。巨大なカメラのレンズに写り込み防止の黒いカバーを付けてる人たちも。すごい装備でみんな一生懸命パンダを撮っている。それぞれの場所(界隈)に、それぞれの知恵がある。勉強になります。
晩ご飯。ご飯、蒸し野菜、胡麻ドレッシング、ナス煮浸し、じゃこきゅうり、めかぶ、はらんきょう。
・6月某日
親戚のおじさん(母親の弟)から宅急便で三輪そうめんが届く。母親、お礼の電話をかける。
久しぶりに京都へ。最寄り駅に歩いて向かう途中、ショウリョウバッタ、キアゲハ、モンシロチョウ、シオカラトンボよりもう少し色が濃いトンボを見かける。梅雨が明けて虫の活動が活発になっているのかもしれない。
京都に到着し、美術館「えき」KYOTOで「没後40年 鴨居玲展 見えないものを描く」を見る。会期末が近づき、結構混んでいた。ブラジルのパーカッション奏者を描いた「太鼓」、自画像、教会のシリーズなど印象的。京都はちょっと遠いし行こうか迷ってたけど、来て良かった。印刷の発色も良かったため、普段買わない図録を買ってしまった。
その後、河原町OPAブックオフと、丸善・京都本店へ。欲しかった本があったので、それぞれ2冊、3冊購入。夕方になり遅くならないうちに、いそいそと帰る。午後7時過ぎ帰宅。日が長いから、京都に行ってもまだ明るいうちに帰れるのがいい。
晩ご飯。ご飯、蒸し野菜、胡麻ドレッシング、ナス味噌、キューちゃん漬け、めかぶ。
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■編集後記
今月は訃報が続きました。音楽界では長年愛聴してきたスライ・ストーンに、ブライアン・ウィルソン。野球界では長嶋茂雄。亡くなって改めてその偉大さを実感しました。どうか安らかに。
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以上、皆さまの音楽生活の参考になれば幸いです。では、また。